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同業者と徒党を組もう。人気と実力と動員力の違いをしっかり分けて考えよう。

1994年に「シングルベッド」が大ヒットするまでは、ミュージシャンとして苦しい時代が長かったというつんく♂。シャ乱Qの大阪時代を振り返っての反省と、そこから得た教訓をみなさんにお届けする連載・第3回目です。「みんなのつんく♂エンタメTOWN」で連載していた内容を、特別編集して掲載します。第1回はこちら。
<文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之

気がついたのが、「集客30人くらいのバンドを5組集めたら、単純計算で150人の動員になるし、盛り上がってる感じがするんちゃうか」という発想です。それが後のハロー!プロジェクトの構想にも繋がります。

こうすることで、自分たちの実感だけでなく、他のバンドマンやライブハウスからの印象が変わります。さらにはファン同士、ライブハウスに出入りする中高生たち同士も会話も弾むようにもなる。「あっちがいいよね。こっちがいいよね」「あのバンドのファンじゃないけど、この曲は好き」「曲は好みじゃないけど、顔が好き」なんてね。

なので、僕らはいろんなライブハウスでバンドファンたちへの聞き込みを開始し、20人以上50人未満って感じの動員数の、メジャー思考のあるバンドを調査し、一緒に徒党が組めそうな常識もあるバンドを探しました。

人気があってもルールを守れないやつらとは組めないし、未来に人気が出なさそうなマニアック層なやつらも身内にしたいとは思いませんでした。それを前提に、似たような動員数で同じようにメジャー思考を持つ20歳前後のバンドに声をかけていきました。いろんなバンド連中に「一緒に大阪を盛り上げて行こう!」と徒党を組む話を進めていくわけです。

やはり人間の心理で「人が集まると相乗効果を生む」というか、集団心理のようなものが働きます。「北海道うまいものフェア」とか、「秋の美食祭り」みたいなイベント的な感じです。小さな屋台がたくさん集まってワイワイなってるとテンション上がりますよね? そんな感じで、数バンドが集まってるだけでワクワクするような、ある種の興奮状態に持っていけたように思うんです。

動員数30人あたりで伸び悩んでいたバンドのファンたちにも活気が芽生えます。メンバー以上に身内意識というか、プライドのようなものが生まれ、宣伝活動が積極的に行われるようになりました。

ここで整理。徒党を組むバンド選びに僕らがこだわった点をおさらいしましょう。

まず、動員力があればいいってわけではありません。不良すぎても困ります。バンドマンとはいえ、ある程度以上の社会的なルールが守れないと集団行動(活動)は出来ません。盗んだ盗まれたや、殴った殴られた、のような揉め事が茶飯事では徒党は組めません。見た目は突っ張ってても、義理ごとにはしっかり対応出来るメンタルを持っていて欲しいです。

もちろん、そういった社会的な常識の話だけでなく、最終的な判断材料もありました。ポイントは2つです。

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