令和の芸能界に必要なたった5つのこと
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令和の芸能界に必要なたった5つのこと

つんく♂
マガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のご愛読、ありがとうございます。今回は「令和の芸能界に必要なこと」をテーマにしたつんく♂書き下ろしコラムを全文無料でお届けします。
<文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之

「アイドル」と言われるジャンル。その正確な定義は一旦置いておくとして……。僕も思えば20代後半から、モーニング娘。やハロー!プロジェクトとともに音楽を作ってきました。最近ではBOYS AND MEN、過去にはKis-My-Ft2やTOKIOやSMAPなど、男性グループとの仕事もさせていただきました。とても楽しかった思い出ばかりです。

僕がハロー!プロジェクトの総合プロデューサーを離れて、そこそこ時間が過ぎました。思えば、もう53歳。これからもまだまだ作品を作っていきたいし、アーティストを育てていきたいと思っています。

が、アーティストを育てるというよりも、「才能のあるアーティストが簡単な落とし穴に落ちたり、避けられる事故ならなるだけあわないようにナビゲーションをする」のが僕の役目なのかな、などと思ったりもしています。なんにせよ、才能を伸ばすのも、この世界で活躍するのも最終的には本人なのでね。僕らにできることはサポートくらいなんです。

今の僕の課題は、世界に轟く作品作りと、これからのアーティストとの関わり。作家であれ、歌手や役者、タレントであれ、出来る限りの僕のノウハウや知識を伝えていきたいと思っている昨今です。

本来有名店のラーメンの秘伝のタレは絶対に門外不出なんでしょうが、僕も残りの人生を自分だけで浸ってる場合でもないので、出来る限りのノウハウを伝えたいと感じています。

令和はバランス時代だが、回り道をする必要はない。

以前、コラムで「令和はバランス時代」と伝えました。

本当にそう感じます。とくに、コロナ禍のこの2年間、動きやビジネスに制限がかかりました。何かに突出していた企業ほどリスクも多いように思います。もちろん、当たればリターンもデカいんでしょうけどね。

アーティストに至っても、「芸」がマルチであるという意味ではなく、「アウトプットがマルチ対応してた人」ほど、コロナの影響が少なかったんじゃないでしょうか。

といっても、あれこれと新しい仕事やジャンルにチャレンジしろという意味ではありません。今後の対策としては、「過去の実績や経験を元に次の新しいものに転換する」と言う発想が大事。僕の話に置き換えると、実績のある「ミュージシャンの世界(作家として)」と「アイドルの世界(プロデューサーとして)」からマルチに展開していくのが、バランス的発想ですね。

これから芸能界を目指す人に伝えたいこと。この先、まっすぐな道だけならばいいですが、実際には迷い道、いばらの道など、いろいろな道があります。しかしこれからのご時世、「勉強だから」と、通らなくっていい道をわざわざ通る必要はありません。とくに、僕が苦労したようなアマチュア時代のケモノ道、プロになってからの寄り道をする必要は、全くないんです。

「苦労は買ってでもしろ」「失敗は成功の元」。これは本当にそうです。ただ、今は僕らが30年前にしてきた苦労をするのではなく、もっと違う厳しい苦労があります。僕らには僕らの時代の苦労があったように、今の時代には今の時代の苦労ってやつですね。IT化時代の中のSNS社会。つい数年前まで「国際化!」と世界中を飛び回るべき時代だったのに、コロナ禍ではそれも出来ない。しかも長期のデフレ状態。これはこれで大変です。

振り返れば、モーニング娘。たちには、僕自身がバンド時代にあれこれと失敗を重ねて経験し習得したものを、わかりやすくショートカットして結論部分を中心に伝えてきました。それによって、昨日までクラスで普通だった女の子が、ヒットチャートの上位に入る「プロ」に一気に変身出来たのです。

あれからさらに時代は進んで、IT化されたの現在は、当時のモーニング娘。よりさらにスマートかつシンプルに、そして未来にも適応した考え方で組織作りをしてくべきだと考えています。

プロとしての能力を伸ばす、5つの考え方。

たとえば現在、中2映画プロジェクトとして、75人のヒロイン候補生が登録されているHEROINES HOUSE。地方にいながらプロとして通用する能力を得られる場所にすべく、建設中です。

ここでの大きな考え方は5つ。

1.自発的に学ぶ
2.切磋琢磨する
3.学びながら実践する
4.大人になっても役立つ知性と思考を育成する
5.国際力を身につける

と、こんな感じで人生を歩みつつ、芸能界でも輝いてほしいと考えています。これから芸能界を目指す方は参考にしてください。

さて、詳しく解説していきます。

1.自発的に学ぶ

とにかく、自発的にいろんなことに興味を持って勉強すること。

今のご時世、塾や教室に通わなくともYouTubeや各種サイトの中で無料でいろんなことを学ぶことができます。詐欺や出会い系等の危険な部分を見抜く力も必要になりますが、そういうことも勉強です。とにかく、芸能のこと以外もバランス時代として、自分を高める可能性のあることはどんどん吸収していくべきです。

30年前の芸能界なら「漢字なんて読めなくってもいいよ」とか「数学なんて必要ないから」なんていう考えもありましたが、バランス時代として一番大事なことは自分力を高めること。そして芸能界じゃなくっても戦える力を付けることです。テレビ局のアナウンサーの方々のように、知性を身につけてほしいと思います。

2.切磋琢磨する

芸能界で戦うにしても、社会で対応していくにしても、やはりいろんな方々と共存共栄していくことが、未来の発展に繋がります。したがって、コミュニケーション能力はとても大事です。これも、社会におけるバランス力のひとつです。

独学で学ぶにしても、感動を分かち合う仲間や、似た能力を持って競い合うライバル。そして、他愛もない与太話で心通じ合える仲間が必要です。

「有名は孤独の裏返し」とモーニング娘。の「Be Alive」の歌詞にも書きましたが、人は成功すればするほど孤独になっていきます。なので、学びあっている時期こそ、共有しあえる仲間が不可欠です。そして、刺激を受けながら、「負けないぞ!」「おめでとう!」「がんばってね!」「ありがとう!」「またいつかね!」など、心の中で切磋琢磨。自分力と社会性を高めていくことが大事だと思います。

これが学校では学べない力、ってやつです。

3.学びながら実践する

いろんなことを学んだとしても、それをどう実感していくか。体験、体感はとても大事です。

1万人の中のたった1人が選ばれ、デビューするのが40年前のアイドルの世界でした。デビューしたり、ヒット曲に出会って、紅白に出演するような体験を出来る人はほんの一握り。昨今は名刺と音源さえ作ってしまえば「今日からアイドル」な時代です。それはそれで実践としても、何を学ぶのかも、目標目的が曖昧です。

HEROINES HOUSEでは、映画制作の中で色々体験し学んでいきます。今後はゴスペル部に所属し、みんなで歌も体験します。そのほか、グループを作ったり、ソロシンガーとしても活躍できるよう、音楽もダンスも、発表の場を設けていく予定です。

僕の構想としては、2022年中に「中2歌手オーディション」の開催も考えています。作家と歌手とシンガーソングライターを募集して、映画と同様「中2」をテーマに楽曲を作り、歌い手も「中2」の心を歌っていくという企画。歌手や作家の登竜門的存在になれたらと思っています。

4.大人になっても役立つ知性と思考を育成する

僕が一番伝えたいこと。

とにかくバランス時代は、「芸能人としてしか生きられないです……」となってしまってはいけません。この10年の間に芸能界に大きな変化があったように、この先の10年もどんどん時代が変わっていくでしょう。

今、最先端のトレンドの中にいても、10年後はわかりません。もちろん保身保身では意味がなく、攻める時は攻める人生でありたいんですが、だからこそ、偏った人生を送ってほしくないなって思います。

僕も大学を出たわりに人生のほとんどを芸能界で過ごしているので、社会の見方に偏りがあります。アメリカに住むようになって、日本そのものも(アメリカから見ると)偏っている面も感じます。

世界を知るには、どっちのことも知るしかないわけです。今、芸能界を目指しているみなさんも、「歌だけ上手ければいい」「芝居だけ出来ればいい」「お笑いが得意ならいい」というだけでなく、「会社の仕組み」「為替」「株」「医療」「法」「自治体の制度」などなど、知識を身につけてください。

小難しいことだけではありません。地下鉄の乗り方、パソコンの使い方、ジェンダー問題、親切の定義、感謝の意味などもそうです。家族や社会のこと、そして自分の幸せについて考える上で、いろんな素養を身につけることはとても大事だと思います。

もちろん、身なりや言動、テーブルマナーなども大切です。僕のように、大阪の兄ちゃんとして鼻息あらく上京してきた田舎もんが、西麻布の有名なイタリアンレストランに初めて連れて行ってもらったとき……。僕はパスタを頼んだんですが、お店の人に「すいません、お箸ありますか?」って聞いたら、当時のマネージャーにめちゃめちゃ叱られたのを覚えてます。「バかっ!このイタリアンに割り箸なんてあるわけないだろ。箸で食うもんじゃねえよ!」ってね。まあ、そうですね。一般的なマナーというのをまったく知らなかったので、大阪のどこにでもあるようなファミレス感覚で食べようとしていました。

こういう常識も、学んでおく必要があります。

5.国際力を身につける

本来は海外旅行したり、留学したり、ホームステイなどでいろんな経験と言語を身につけるべきなんですが、今はそう簡単にも行きません。だからといって、すべて放棄もできません。

国際力というのは言語や文化を学ぶだけでなく、いろんな尺度から見る力のことです。「日本の常識は海外の非常識」ってことも、たくさんあります。どっちが正解かはわかりません。ただ、バランス時代に突入しているので、「どっちの意見も正しい」「それぞれの意見がある」「立ち位置や尺度によって、見え方も変わる」ということを知っておくことが大事です。

とはいえ、日本だと黙っていても平等に回ってきそうなものや供給物資なども、アメリカだと自分から手をあげて存在を伝えないと回ってこないなんてこともあります。「なんだ、足りてるんだと思ったよ」ってな具合に。

だからといってアメリカ的考えが自分勝手というわけではありません。譲り合いの精神や寄付する文化はアメリカの方がすごく合理的だし、積極的。日本にいると、すぐ損か得かという話になっていくようにも思います。

たとえば、ふるさとのためのふるさと納税だったのにいつのまにか特典合戦になっていきました。心意気で寄付するものだったはずなのに……みたいなね。

日本人である以上は「日本から見た世界」、「世界から見た日本」と、日本が中心にはなりますが、日本の常識が他国にとっての常識ではないことも普段から意識しておいてください。

ということで。マニアックかもしれませんが、今後芸能界を目指す皆さんには知ってもらいたい内容でした。とくに、HEROINES HOUSEの皆さんにはよくよく理解してもらいたいと思っています。

ぜひ人生のご参考に!

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つんく♂
総合エンターテインメントプロデューサー / TNX株式会社代表取締役社長。1992年、ロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビュー。音楽家として作詞・作曲と、「モーニング娘。」をはじめとした数多くのアーティストプロデュースを手がける。