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セルフプロデュースで絶対にハマる落とし穴の話

マガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のご愛読、ありがとうございます。自身のバンド・シャ乱Qのセルフプロデュースをしていくうちに実感したという、ある「落とし穴」について振り返ります。
<文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之

僕は音楽プロデューサーとして、曲を作り、歌詞を書き、楽器を使ったレコーディングもします。

時には、ミックスダウンをするためにスタジオのコンソールを自分で操って曲を仕上げたりもしました。さらには振り付けのアイデアを出したり、衣装の方向性なんかも決めます。

シャ乱Qが売れてからは、バンドのプロデューサー名が「シャ乱Q」自身となりました。

デビュー後、売れる前まではサウンドプロデューサーやレコード会社だったり事務所の担当マネージャーが「こういうの面白いだろ?」「こんなのやってみない?」と提案していたのに、いつからかアイデアを出すのも、それをやるのもメンバー自身になっていったんです。やらされている感が、どんどんなくなっていきました。

最初のうちはいいんですよね。まだ、スタッフからの意見も聞こえてくるので、ちょうどいい落とし所を探ったり、周囲の意見をもとに、知恵絞っていいものを作っていくことができました。

でも、本当に売れると、スタッフもあれこれ言いにくくなってくるんです。僕たちにも「全部こっちで決めなければいけない!」という、変な義務感が生まれてきました。

世間は「ホスト系バンド」とか「チャラい系バンド」みたいな位置付けで僕らのことを呼びます。僕らもそれを「まんざらでもないなぁ〜」って思ってたので、どんどんエスカレートしていきました。

僕の眉毛は細くなるし、金髪はツンツン立ってるし、はたけはロン毛になるし、たいせーは着ぐるみ着てるし、なんだかよくわかんないんです。

それでもテレビ局に行くと「いいね〜」「面白いね〜」って言われます。番組でも、こっちが強調してきた部分を映像で抜いてくれる。すると、さらにまたウケるわけです。アホなことばかりやってました。「これもセルフプロデュースだぜ!」ってな具合でね。

しかし自分も、世間も飽きてくる。思えばチェッカーズのフミヤさんのチョロっと出た前髪も、C-C-Bのカラフルな髪型も、2年もすれば、世間もそうですが、きっとメンバー自身が飽きたんだろうなって思うんです。

でも、ファンからしたらフミヤさんがソバージュみたいなのにした時には「チェックの服で前チョロがよかったのに〜」って突っ込んでたし。C-C-Bの髪型も、みんな黒にした時には「C-C-Bちゃうやん!」て思ってしまった記憶もあります。

でも、当人はもっと刺激が欲しいし、新しい音楽に似合うファッションやスタイルで行きたいでしょうから、「ファンが少し引いても、自分のやりたいことをやるんだ!」って思うものです。

で、本題。ここで大事なのが「本当の意味でのプロデューサー」なんです。

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