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モーニング娘。’23 feat. 譜久村聖 10/25発売 Single 「Neverending Shine」セルフライナーノーツ

俺が譜久村なら、
自分が歌ってるモーニング娘。を最前席で観たいって思うだろう。
そこから
「僕がもう一人いたら」
という歌詞に辿りついてます。
 
人称が「僕」になってるのは、
譜久村が歌う分「私」で歌うより
「僕」の方が、より「パブリック」な立ち位置に感じる気がしたからです。
 
「僕」や「私」で、
アイデンティティを決めるような時代ではないのかもしれませんが、
それでも日本語にそれがあるなら、使い分けさせていただきます。
 
卒業ナンバーだからミディアムがいいとか、
バラードがいいとか、ノリノリの方がいいとか、
いろんな希望もあるかとは思いますが、
この曲を書き上げて、歌詞を書く時に、

「譜久村が歌う以外にどうするんだよ、この曲は!」
 って、そう感じてならなかったんです。


 いろんな曲を作ってきたけど、
初期のモーニング娘。のような密な時間の過ごし方ではなかったけど、
今までにいないハロー!プロジェクトメンバーで。
 
ハロー!プロジェクトやモーニング娘。のメンバー期間以上に、
つんく♂楽曲を「聴いて」「歌って」をしてくれてたのもよくわかるし、
この曲に辿り着けてよかったなって、僕は勝手に思ってます。
 
実はこの曲のレコーディング。

譜久村的にもきっと思い入れも強いだろうし、
誰でも、いい感じに歌いたくなるわけです。
 
これって、僕がいつも言うし、思う、
一番むずい状態なんです。
 
僕も当時、「シングルベッド」とか歌う時って
気合いも入るし、歌上手いって思われたいし、
感動もさせたいし、いろんな思いが重なって
イキってしまいます。
 
とくに曲がヒットしてから、地方の公演で歌う時なんて、
誰もが「待ってました!」ってなるので、
こっちも「答えなきゃ!」ってなるわけです。
 
でも、そういう時の歌って、
なんだか「あれあれ?」ってなったり、
後からビデオ観たら「俺、何イキってんねん!」
ってな恥ずかしい感じになってたり(現場は盛り上がってたりもするけど)
思ってる以上に上手く行きません。
 
「無」になりなさい
なんてカッコいい指導をする人もいるかもやけど、
滝行3年とかやった人間でもないし、そんなん無理です。
 
芝居も同じ。
 
自然な芝居ってなんだろうって思うわけです。

今回の譜久村の歌唱ですが、そりゃ〜どんだけ自然にすごそうって
思っても、曲を受け取ってからいろんな想いが巡ったと思うんです、頭の中を。

きっと無意識の中での「緊張」「圧」「欲」「夢」「愛」などなど
いろんなものが積み重なってレコーディングにのぞんだと思うんです。

デイレクター曰く、
当日、ブースに入ってしばらくは譜久村の「素晴らしい個性の何か」が
声として出しきれず、地団駄を踏んでいるようなレコーディングが続きました。

簡単に言葉にするとそれだけで全てを意味することは出来ないけど、
おそらく「艶」が乗りきっていないままレコーディングがすすんだんだと思います。

このままでは、ここまでの良い部分を繋ぎ合わせないと完成しないかもな〜。
そう思っていたようです。

この日も、この曲の1コーラス目から順番に箇所箇所でレコーディングを進めてます。
で、この曲には、間奏が終わった後に、少々静かな場面があるんですが、
この箇所のレコーディングに突入した瞬間から彼女の声が急に変わったようです。
おそらくゾーンに入ったというか、あのバックトラックの
空間に吸い込まれ、それまで譜久村が募り募らせた想いと重なり、
急に歌が「艶」とともに舞い始めたんだと思います。

それはレコーディングされた声を聴き比べれば明らかでした。
そこまであれほど苦労して
箇所箇所レコーディングをしてきたのに、
そこからは全体をほんの数回、歌って終了。 

「これやん!」

そう思いました。
 
人間って欲深くって、わがままですね(笑)。
不思議です。でも、それが人間です。
 
歌詞の話を少し。
僕的には珍しく、詩的な部分を作ってみましたが、
譜久村の卒業でなければ、書かないだろうな〜というような表現です。

普通は歌詞を歌詞っぽく書くとリアリティーがなくなるんですが、
なぜかこのシングルで譜久村が歌うとなると
響いてくるんですよね〜。
 
離れたくない
近くにいたい
近すぎると見えない

太陽より熱く
星より綺麗
に、君を愛す
 
このフレーズは出て来ないよ〜。
当たり前すぎて。
 
でも、それがポエムなんだよね〜。
 
って、珍しく語ってしまいました。
 
これも譜久村ラストシングルってことだからこそ、
響くフレーズの連打。
 
で、曲の最後はメンバーみんなが出てきて
クロスして歌う。
 
なんと美しい・・・
 
卒業を派手にすればするほど、
「祭りの後」になるので、こういうセレモニーは出来るだけ自然がいいんですが、
メンバーともファンのみなさまともいい意味で
この曲で心をシェア出来ればって思う分、いつもと違う感動をお届けしたように思います。
 
ありがとう!
 
P.S. アレンジは神谷礼氏。
ピアノの世界観は聴いた感じでどなたにも伝わると思いますが、
彼の美しいのは、アレンジとアレンジの楽器の間にいっぱい空間があって、
この空間が宇宙空間のようで、この曲にピッタリハマったんだな
ってそう思います。
 
つい埋めたくなるからね。
 
これからもたくさんタッグが組めること、楽しみにしています!

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