初耳学の放送を終えて〜TOKIOが思い出させてくれた、音楽の原点〜
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初耳学の放送を終えて〜TOKIOが思い出させてくれた、音楽の原点〜

日曜日の初耳学『つんく♂が語る…凡人が天才に勝つには!?林修に本音を全告白SP』(MBS毎日放送)の出演を終えたつんく♂。今回は、番組内で紹介しきれなかったTOKIOメンバーへの感謝を綴った書き下ろしコラムを、急遽公開。全文無料でお楽しみいただけます。
(文 つんく♂ / 編集 小沢あや / イラスト みずしな孝之

日曜日の初耳学『つんく♂が語る…凡人が天才に勝つには!?林修に本音を全告白SP』(MBS毎日放送)、林先生、インタビューありがとうございました。とても楽しかったです。

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番組は8月22日まで、TVerでも観られます

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さて。番組出演を終えて、番組内では紹介しきれなかったTOKIOのみんなとの大切な思い出を、もう少し伝えさせてください。

2014年春、TOKIOが秋から久々のコンサートツアーをすると発表しました。

実は、我が妻は中学生の時からのTOKIOの大ファン。ツアー開催発表のニュースを見て「久しぶりのツアーだし、一緒にTOKIOを観に行こうよ!」ってことになって、彼らの事務所にチケット予約のお願いをしたんです。以前、彼らのプロデューサーだった特権で(笑)。

しかし残念なことに、その後ガンが見つかって、僕は長期の放射線治療をすることになりました。なので、しばらく表向きの活動休止を発表したんです。

毎月のように何かしらかのリリースを控えていた当時の僕にとっては、それだけでも苦渋の決断でした。数カ月も活動をストップするなんて……。

そう落ち込んでいると、TOKIOがすぐにメンバーで寄せ書きした色紙をくれました。そこには「頑張ろう!」って書いてあって。それが、なんか嬉しかったんです。

普通は「頑張ってください!」とか「応援してます!」とかですよね。でも、その時は「頑張ろう!」が心にす〜っと入って。妻と2人で感動してたんです。

ただ、病気はその後も良くならず、夏以降はもっと悪化してしまいました。結局、2014年の秋に声帯を全部摘出する大手術をすることになってしまいました。

正直、もう表舞台は諦めてました。というか、頭になかったです。「残りの人生は、コツコツと曲や歌詞だけ作るようなセミ隠居人生かな……そもそも、こんな俺に需要はあるのかなぁ……」なんて、ぼんやり考える毎日。

ものすごい手術だったし、食べ物が喉を通らないので、入院食は毎日おいしくない液体状のご飯(いわゆる流動食ってやつです)。長期入院になり、TOKIOのコンサートは諦めるしかないと思っていました。

ただ、3週間とも言われていた術後の入院が、思いのほか経過が良好で、1週間以上早く退院できることになったんです。

しかし、コンサートは僕の退院から数日後。その頃の僕は針金みたいカリカリに痩せ細っていたので、「退院直後だし、到底無理だろうな」と、妻も諦めていたんです。

「キャンセルしなきゃね」ってことで先方に経緯と事情を説明させてもらいました。すると、「了解しました。お大事になさってください。でも、無理でなければ、是非いらしてください」って、言ってくれたんです。とてもありがたい返事です。

思えば、病気以降、僕をずっと看病してくれてた妻。「ちょっとでも妻に元気のお返しが出来るのであれば、出かけよう」ってそう思ったんです。妻の元気が僕や家族の元気ですからね。

で、勇気を振り絞って久しぶりに私服をちゃんと着て(ずっとスウェットみたいな自宅着ばっかりだったので)出かけたんです。当然、僕も体力が落ちているし、クラクラするような感覚でした。それでも、妻の笑顔。そしてメンバーの演奏しているシーンを観て随分勇気をもらえて。「ああ、思い切って行ってよかったな」と。

終演後、TOKIOのメンバーの楽屋を訪ねて、挨拶したんです。こっちは痩せ細ってるし小っ恥ずかしかったけど、勇気をもってね。

というのも、やっぱり僕も彼らの先輩だし、仮にも彼らのプロデューサーだったので、「あんまり弱ってる姿を見せたくないなぁ〜」って思うやん。

でも、彼らは本当にめっちゃ普通に、いつも通り笑顔で僕たち夫婦を迎え入れてくれたんです。僕を見て変に気遣うわけでもなく、「久しぶりでーす!」「来てくれてよかった!」「写真撮りましょう!」って感じでワイワイ。ほんの数分の出来事です。

そして、メンバーの誰か忘れちゃったけど「つんく♂さんの自宅とかでホームパーティとかする機会があったら、ぜひ呼んでくださいよ〜!」なんて言い出したんです。

まあ、社交辞令って思って「ぜひぜひ」なんて言ってその日は終了、無事帰宅したわけです。しかし、その数日後、「で、例の話、いつにします?」みたいな連絡が来ました。

「え?  まじでええの?」ってなって、我が家的にも急にスイッチが入ったんです。それまで病人だった僕も、看病疲れしてた妻も、「TOKIOが家来るで!」「片付けなアカン!」と。そこまでのくらーい雰囲気が、一瞬にして変わったんです。

そこから1カ月後くらいでしょうか。彼らにとって忙しい年末だったけど、5人揃って我が家に来てくれました。

パーティーにはプロの料理人も呼びましたし、妻も得意料理を振る舞いました。そして終盤戦で、彼らがシークレットライブとして2曲、アコースティック演奏してくれたんです。『AMBITIOUS JAPAN!』と『花唄』を。

「つんく♂さんも一緒に『花唄』セッションしましょう!」と長瀬が言い出したので、僕もギターを持って、彼らと一緒に演奏したんです。

その瞬間、忘れてた何かを思い出しましたね。学生の時、音楽が好きで楽器を抱えるように寝てたあの頃のあの感覚を。「ああ、音楽ってこうやったよな。セッションってこんな感じよな」って、ジワジワ込み上げるなかで1曲演奏したんです。

心の底から「楽しい〜」って思いました。妻もボロボロ泣いて。まあ、それはTOKIOの演奏に感動してるんやろうけども(笑)。

音楽の原点を思い出せた瞬間でした。それまで千数百曲も作っているうちに、忘れちゃってた何かというか、大事なことに気がつかなくなってたんですね。自分がどれだけ幸せだったかということを。
シャ乱Qメンバーやモーニング娘。、ハロー!プロジェクトのメンバーや僕の曲を歌ってくれたたくさんのアーティストさんたちにも、本当に感謝の気持ちが湧き上がってきました。

そして、「まだまだ音楽は出来る、どんな形でも楽しめる」と、とっても大事なことを思い出せた瞬間でした。TOKIO、ありがとうね。


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「スキ」めちゃええやん!
総合エンターテインメントプロデューサー / TNX株式会社代表取締役社長。1992年、ロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビュー。音楽家として作詞・作曲と、「モーニング娘。」をはじめとした数多くのアーティストプロデュースを手がける。