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Juice=Juiceとつんく♂のスペシャル座談会! 後編

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」。2023年に10周年を迎えたJuice=Juice。今回はJuice=Juiceメンバーとの特別座談会を実施しました(川嶋美楓は活動休止中のため欠席)。後編では2024年の春ツアーで卒業を予定するリーダーの植村あかり、工藤由愛、有澤一華、入江里咲、遠藤彩加里の5名が登場。それぞれのJuice=Juice像やつんく♂との思い出を語り合います。前編はこちら。
<文:結井ゆき江 / 編集:小沢あや(ピース) / 写真:YOSHIHITO KOBA

遠藤彩加里、入江里咲、植村あかり、有澤一華、工藤由愛

Juice=Juiceの良さは「オリジナリティ」

つんく♂:前編で他のメンバーにも聞いたんだけど、メンバーが思うハロー!プロジェクトにおけるJuice=Juiceの個性を教えてください。

植村あかり

植村:私はオリジナリティだと思います。ライブでのアレンジとか、思い立ったら自由にやってみる自信がある子が多いですね。やらないほうがいいかなっていう自信のなさはないかも。今のJuice=Juiceの好きなところでもあります。

つんく♂:あれ? 君たちの言う「アレンジ」ってどういう意味?? 

植村:1曲の中で言いまわしを変えてみたり、音程を変えたりしています。

つんく♂:(うなずく)へ〜、そういう意味なんや。

工藤由愛

工藤:私が思うJuice=Juiceの良さは、中学から高校、高校卒業後など様々なメンバーがいる中で、大人っぽい楽曲を歌うことですね。それぞれの年齢に合った価値観で歌うと、楽曲のゾーンが広がって面白いんじゃないかと思っています。19歳という少女と大人の狭間から、その先に向かう中で、歌う魅力があると思うんです。そういうことを考えながらパフォーマンスしています。

つんく♂:なるほどね。

遠藤彩加里

遠藤:私の思うJuice=Juiceの良さは、普段は優しくてぽわぽわしている感じなのに、パフォーマンスになるとキリッとするギャップです。

つんく♂:加入してどのくらいだっけ?

遠藤:1年です。

つんく♂:(うなずく)

入江里咲

入江:Juice=Juiceは、仲がいいところがいいなと思っています。同期と過ごすより先輩・後輩がくっついて楽屋で過ごすことが多いなと感じるし、プライベートでもよく遊ぶんです。そういう面がパフォーマンスでの信頼につながっています。メリハリもあって、仲がいいけど、パフォーマンスについてアドバイスし合う良い関係です。

つんく♂:(うなずく)

有澤一華

有澤:私の思うJuice=Juiceの魅力はリスペクトです。グループだと悔しさや嫉妬する感情が生まれるけど、一人ひとりがみんなのことをリスペクトして、グループのことを一番に考えて行動しています。楽曲を歌う時に入れるフェイクも、信頼やリスペクトがあるからこそごちゃまぜにならないし、曲が崩れない。それがJuice=Juiceの楽曲を輝かせてると思います。

つんく♂:メンバーがそれぞれをリスペクトしているってこと?

有澤:そうですね。私はメンバーを一人ずつリスペクトしていて、もちろん自分のこともリスペクトしてます。自分はここができる。みんなはここができるから、任せる。Juice=Juiceは助け合いというよりも、ひとつの大きな山を積み重ねて作っている感じがします。

つんく♂:有澤は自分のリスペクトしている部分はどこなの? 

有澤:いい意味で、空気を読む・読まないを使い分けているところですね。

メンバー:(笑)。

つんく♂との思い出「セリフ調にアレンジして」

つんく♂:じゃあ、つんく♂と話した思い出や、noteで書かれて印象に残っていることを聞かせてください。

植村:私は『会えない長い日曜日』を嗣永桃子さんと生田衣梨奈ちゃんと私の3人でやらせていただいた時に、ゲネプロでつんく♂さんから、「歌詞の『知らない』を『もう知らない』ってセリフっぽく言ってみて」と指示されたんです。私の歌はやっぱり認められていないんだなと感じました。

つんく♂:結局、どうしたの? 

植村:「もう知らない!」って怒りました。

つんく♂:客席は?

植村:うわーーー! って盛り上がりましたね。

つんく♂:やってみてよかったの? 歌いたかったの?

植村:やってみてよかったです。

つんく♂:よかった(笑)!

植村:今でもセリフ調にアレンジするようになりましたね。

工藤:私はつんく♂さんとお話するのが初めてなので、直接の思い出は今日なんです。同期のモーニング娘。'24の山﨑愛生ちゃんに「つんく♂さんとの対談は、どんな感じなの?」と尋ねたら「優しい方だよ」と教えてもらったので、ドキドキしつつ、自然体でお話できたらいいなと思って来ました。

つんく♂:自分のことをnoteとかでコメントされた記憶はある?

工藤:実力診断テストに3回出場させていただいたことがあるんですけど、3年目の最後で、Berryz工房さんの『ROCKエロティック』でダンス賞をいただきました。

つんく♂:(工藤のネックレスを見ながら)……全然話が変わるけど、それタコの足?

工藤:あ、そうです! 私はタコを食べるのも見るのも好きなんです。これはアクセサリーで、同じ形のネックレスも持ってるんですよ。

つんく♂:すごいな。ピンマイクでもないし、まさかタコじゃないよな? って思っていたら、タコだった。

工藤:めちゃくちゃ好きなのでグッズを集めているんです。たぶんこのタコは、吸盤がそろっているのでメスだと思います。衣装につけることもあるんですよ。

つんく♂:おいしそうやな~。じゃあ次の人。

遠藤:昨年、一般加入でJuice=Juiceに入ったので、つんく♂さんと関わる機会がありませんでした。今日が初めてです。がんばります!

つんく♂:今日の服は自分で選んできたの?

遠藤:お母さんが選んでくれました。

つんく♂:テーマは何だと思う?

遠藤:(オンラインで上半身しか)見えないんですけどスカートが黒くて下がフリルになっていてかわいいので、上をちょっとセクシーな感じにして冬っぽくまとめたんだと思います(立ち上がって全身のコーデを見せる)。

つんく♂:おお、いいじゃん。大人っぽさアピールもあっていいね。じゃあ次。

入江:私も2年半前にJuice=Juiceのオーディションを受けて加入したので、つんく♂さんとお話するのは初めてです。

つんく♂:ハロー!プロジェクトなしでJuice=Juiceに入ったの?

入江:そうです。Juice=Juiceのオーディションを受ける前に、アンジュルムさんのオーディションを受けたんですけど、3次審査で落ちたので研修生にも呼ばれず。リベンジして受かったんです。歌もダンスもやったことがなかったし、Juice=Juiceに初めて、研修生じゃないメンバーが加入した時でした。

つんく♂:なんでそこまでしてなりたかったの?

入江:元々芸能界には興味はなかったんですが、ハロー!プロジェクトを好きになって、初めてハマったんです。

つんく♂:なりたいって思ったの?

入江:「これだ!」と思ったきっかけは、ハロー!プロジェクトの公式LINEアカウントですね。追加した日に「オーディションをやります」という通知が来て、受けるか迷っていたけど背中を押されました。年齢制限も受けられる期間も決まっているし、だめでもどこまでいけるか試してみたくて。

つんく♂:なるほどね。次。

有澤:私は、2021年にアンジュルムのオーディションを受けた後にハロプロ研修生に入って、半年間活動してからJuice=Juiceに入りました。実力診断テストの時につんく♂noteでコメントしてくださったのをお母さんの携帯から見せてもらったんですけど、その時は「現メンバーの歌い方を意識して歌ってる。完全コピー」と評価していただいたんです。けど、私はそれがコンプレックスだったんです。ハロプロ研修生に入る前は楽器をやってきて、楽器弾きになると思ってきたので。

つんく♂:何をやっていたの?

有澤:バイオリンです。クラシックなんですけど、コンクールは減点法なんですよね。私は自由に即興演奏とかジャズとかインプロビゼーションをするのが好きなんですけど、それができない環境でした。会場でアレンジをやったら、「コンクールでアレンジは辞めてください」という手紙が届いて、クラシックには向いていないのかなと思っていたんです。当時は楽譜が読めなかったので耳で覚えていました。プロのバイオリニストをひとり決めて、その人どおりに弾くしかなくて。その延長線で、実力診断テストがコンクールと重なって、原曲通り、楽譜通りってなっていたので、配信を見てくださる方やお客さまに対して歌うことを忘れていたなとすごく反省しているんです。

つんく♂:その時は何を歌ったの? 

有澤:モーニング娘。さんの『SONGS』ですね。高橋愛さんの歌い方だけじゃなく、全メンバーの癖も拍も真似していたので、「真似は上達する上で大事な武器だから伸ばしてもいい」ってつんく♂noteに書かれていたのがすごく悔しくて。曲に対しての研究が足りなかったんだなと思いました。実力診断テストで賞をいただいてデビューできたけど、『SONGS』はまだ研究しています。

つんく♂:深いね。まだ18~19歳くらい?

有澤:先日20歳になりました。

つんく♂:女の子は年齢的にも筋力的にもピークを20歳前後で迎えるとも言われてるけど、そこまでに何を吸収したかがその後の人生に影響してくると思うんよ。実力診断テストでもっと違うことをやっていたら、評価がどうなったかはわからないけど、デビューできてなかったかもしれない。それが有澤にとって違う結果をもたらして、「そっちでよかったね」となるかもしれないし、それはわからない。

けど、俺は小さい時から物まねが大好きでマイケル・ジャクソンとか完璧に物まねして自分を作っていったから、完コピは意外と悪くなかったんだろうなって思っているの。だから本当にいい意味で評価したんだと思う。

有澤:ありがとうございます。

つんく♂:今から君らの言う「アレンジ」を始めると、ある程度まではいくけど、その後伸びない気がするんだよね。ジャズも早くから「うまいね」って言われるやつは、そのうちアドリブやってるような顔して、結果、「いつも同じじゃん!」って突っ込まれる奴が多い気もする。だからクラシックのパターンを色々知っている方が未来を考えたらかっこよくなる可能性が高いって思う。何もできない奴もいっぱいいるけど、有澤がそこまで自分に問題意識を持っているなら、完コピをやってもいいんじゃないかな。

俺の仮歌がある時代なら、田中れいなみたいにいろんなことを吸収して、自分なりにいろんな歌が歌える子になって、リズムも絶対ぶれなくなるすごいと思う子もいるから。そこに問題意識を持っているのはかっこいいと思うから、楽しみにしています。

有澤:ありがとうございます。

メンバーからの質問「タコ派ですか? イカ派ですか?」

つんく♂:じゃあみんなから質問を受けようかな。

工藤:はい! つんく♂さんは、タコ派ですか? イカ派ですか?

メンバー:あはは!

つんく♂:いいね。俺はイカも好きだけど、タコがめっちゃ好きかな。

工藤:(ガッツポーズ)タコ派のnoteを作っているんですけど、お名前を書かせていただいていいですか? 

つんく♂:OK。ハワイにもタコは売ってるけど、俺は鍋に入れる飯蛸が好きで、キムチ鍋にまるごとぶち込んで食べるのが好きやな。ハワイって、日本からお肉類は持ち込めないけどタコはOKだから、めっちゃ持って帰るよ。

工藤:仲間ですね! ありがとうございます。

遠藤:私はアイスが大好きなんですけど、ハワイでおすすめのアイスはありますか? 

つんく♂:ワイキキに憧れていると思うけど、スイーツに関しては日本の方が安くてうまいと思う。でも、ボリュームはハワイがすごいかもね。アイスもかき氷も日本は技術も巧みやし。ただ、アメリカはアレルギーに対応した商品が多いんだよね。うちの下の子どもがミルクアレルギーなんだけど、ミルクが入ってないアイスクリームもサッと買えるのは良い。ちなみにアップルパイと一緒に食べるとおいしいです。

遠藤:ありがとうございます。

入江:私はさっきもお伝えしたけど、研修生を経験しないで加入しました。同期の2人は研修歴がある中で、自分だけが何もできず大変だったんです。基礎を作る研修生を経験してみたかったなって、今でも思います。つんく♂さんが思うオーディション組の良いところを教えてください。

つんく♂:研修生って、良くも悪くもルールができてくるよね。「これをやっておけばセーフ」じゃないけど、俺らが直接教えなくても「リズムってこうだよ」「ライブの立ち位置はこうだよ」とか。そういうのは研修生時代に自然に学べるのは楽ちんでいいかもね。でも、モーニング娘。にも研修なしで入ってくる子がいるやん? その子らも、結局そのうちなんとかなるのも事実。曲数も多いからメンバー本人も先輩たちもめっちゃ大変だけどね。入江としても結果、乗り越えられたんなら、よかったんじゃないかな。ダンスもやったことなかったんでしょ? だったらほんまによく頑張ったなと思う。今はだいぶ慣れたの? 

入江:慣れてきて、余裕も出てきました。

つんく♂:Juice=Juiceはダンス力が高いから。まだ金澤(朋子)がいたころ?

入江:そうです。金澤さんがリーダーの頃に加入して、3年になります。

つんく♂:3年もあればなんとかなるか。

入江:そうですね。覚えるスピードも同期と足並みを揃えられるようになってきました。

つんく♂:研修生出身だったら、ハロー!プロジェクトの代表曲は自然と叩き込んじゃってると思う。でもオーディション組だと、定番の「あの曲」って言われてもぱっと思い浮かべられないのが大変かもね。そういうところは自分でやっていくしかないかな。

入江:はい。ありがとうございます。

有澤:私は、つんく♂さんが学生時代に好きだったアーティストや、影響を受けたアーティストを教えていただきたいです。

つんく♂:今の子に言ってもわからないかもしれないけど、俺らが大学生の時って、『ザ・ベストテン』という番組があったり、アイドルがブームだったりして、同じくらいにアメリカやヨーロッパの曲が入ってきた時期なんだよね。

その頃はいろんなジャンルを聴いていて、その中でも当時の懐メロに当たるアース・ウィンド・アンド・ファイアーとか、ジャクソン5とかモータウンレーベルで流行った曲など、いわゆるブラックミュージックをめっちゃ聴いた。と同時に50's-60'sの戦前・戦後のアメリカのポピュラー音楽もたくさん聴く。エルヴィス・プレスリーも好き。フランク・シナトラとか、いわゆるアメリカのオールディーズといわれるジャンルをめっちゃ聴いてたかな。

有澤:ありがとうございます。

つんく♂:メロディーを作る時はアメリカのオールディーズからヒントを得ると日本人にも理解しやすいみたいだけど、リズムはジェームス・ブラウンの何がすごいかを研究するのが大好きです。

有澤:そうなんですね!

つんく♂:研究するとすごくいいかも。リズムはジェームス・ブラウン、ジャクソン5です。次。

植村:Juice=Juiceのメンバーカラーで私がメロンになったのはなぜですか?

つんく♂:そんな深い意味はないと思う。緑色じゃなかったのは、グループ名のJuice=Juiceに合わせたからじゃないかな。違和感があったの?

植村:唯一私が食べられないフルーツなんです。

つんく♂:アレルギー? 

植村:ただの好き嫌いです。人生で損してると思うことの一つなんですけど、節目で乾杯する時は、メンバーとメロンジュースを交換して飲んでました。ここで初めて言うんですけど(笑)。

つんく♂:それは知らなった。今のカラーは何?

植村:メロンカラーを引き継いでやってます。

つんく♂:でも深い意味はなかったと思うな。植村の植が、茂っていくイメージがあるから緑色なのかもね。

植村:あ!!! すごーい。

つんく♂:実がなると言うか、田んぼのイメージがあるよね。

つんく♂流リズムレッスン「16分音符の長さが鍵」

つんく♂:じゃあ、もう1つずつ質問を受けようかな。

植村:つんく♂さんがもしアイドルだったら、どんなアイドルになっていましたか?

つんく♂:俺が?

植村:はい。

つんく♂:(熟考)俺がデビューした時は22歳くらいで、いわゆる「ザ・アイドル」と呼ばれるには年齢を重ねすぎていたんだよね。今だったらそうでもないだろうけど、15~16歳でデビューするのが男女当たり前の時代だったから。22歳でアイドルをやらせてもらえるなら、「18歳です」って4歳くらい年をごまかしてデビューするかな。売れるなら「何でもやらせてください!」っていう気持ちだったから。

逆に言うとその頃は、そこまで音楽のことをわかっていなかったから「何でもやります」って態度だったんだよね。音楽のことをよくわかっている専門家には負けるだろうと思っていたから「何でもやります」って気持ちでバンドを続けていた。それがよかったのか、かえって遠回りしたのかはわからんけどね。

植村:ありがとうございます。

工藤:言葉にしたいのにできない時、気持ちをどう消化していますか?

つんく♂:どういう時に困るの?

工藤:「感無量です」ってお伝えするけど、感無量では足りない時ですね。その言葉で合ってるんだけど、腑に落ちないなと感じます。

つんく♂:簡単なのは、4歳とか5歳の子に「たこやきがおいしいよ」と伝えたいとき、どうすればこの子も興味を持つか考えることかな。例えば5歳の子に、「このたこ焼きは感無量だよ」って言ってもピンとこない。「タコがおいしいんだよ」「ソースがちょっと甘いよ」と具体的なことを言わないと伝わらないから、そういう言葉をぶつけるかな。

工藤:ありがとうございます。具体的に、ですね。

つく:難しい言葉はいらないよ。

遠藤:私はあまり深く考えられないタイプなんですけど、アイドルという職業はそれでも大丈夫でしょうか?

つんく♂:全然大丈夫だけど、身の危険だけは自分で守らないとね。結果、よく考えなかったから、あの時失敗したなと思うのも自分だから。なんでも「やだやだ」って言ってたら経験できないし、なんでも「OKOK」と言ってたら緩い子になっちゃう。15歳は世間ではまだ子どもだけどね。遠藤は自分を子どもだと感じるの? 

遠藤:Juice=Juiceに入るまでは思うことがなかったんですけど、加入後は「赤ちゃんだね」って言われることがあるので感じました。

つんく♂:15歳って思っている以上に大人と同じように物事を判断できるから、あまり自分をメンバーと比べて「子どもだから」と若いせいにしてしまわないようにね。「ま、いっか」ってやっていると、20歳になってもその癖が取れなくなる。逆に言うと早い段階で「植村さんはどう考えるのかな」と考える癖をつけるといいよ。せっかく中間くらいのお姉さんがいるんだから、早めに切り替えたほうがいいかもね。

遠藤:はい。ありがとうございます。

入江:私はつんく♂さんが現体制のJuice=Juiceのイメージをどう思っているか知りたいです。

つんく♂:上手なグループだよね。器用だなと思うけど、ちょいちょい出てくる個性とかアレンジとかをやりすぎると、ガチャっとすると思う。Juice=Juiceの音源やYouTubeを時折チェックするんだけど、「うまいな」って思うところと「ガチャっとしているな」と思うところがあって、そこが集団の爆発力に欠ける要因になってる気もする。揃える癖をつけたほうがいいんだろうけど、そればっかりやるとJuice=Juiceのみんなが使う「自由」って良さがなくなってもったいない。それでも、ガチャッとするのは取ったほうがかっこよくなりそうだとは思います。

入江:ありがとうございます。

有澤:ハロー!プロジェクトといえばリズムのイメージがあります。私は歴代の先輩方からつんく♂さんが昔されていたリズムレッスンについて聞くことがよくありました。

Juice=Juiceが10周年を迎えて初期の楽曲を披露する場面が増えたので、よく聴きこむんですけど、リズムの取り方やメロディーが、この楽曲を乗り越えたらこの先何年も歌えるのでは、という練習曲に感じるんです。そのおかげなのか、植村さんのリズムは体いっぱいで取らなくても、リズムを感じているようにみえます。歴代の先輩方が言うリズムレッスンでは、どういう練習をされていたんですか?

つんく♂:植村とか、最初に来た時は本当にまったくだらーだらーとしてる子で、暖簾に腕押しじゃないけど、そんな感じだったの。

有澤:(うなずく)

つんく♂:細かくは言わないけど、例えば16分音符の長さをどれくらいに思うかって話なのよ。俺はなるだけ長さを近く取った方がいいと思うんだよね。全部16分音符やけど、長さはその人の匙加減。0.02秒なのか0.03秒なのか。ハロー!プロジェクトでは短く取るように教えてきたの。Juice=Juiceの初期の曲は短く取ってないと歌えない曲をあえて渡してきた。細かく見てあげられない分、楽曲で覚えてもらいたいと思ったから。当時はスマイレージがすぐ横にいたから、そことの差別化もとりたかったしね。

有澤:なるほど。

つんく♂:でもクラシックにいたら、習わないことがつまってて、とくにJuice=Juiceの初期の楽曲はリズムがあればなんとかなる。今のモーニング娘。たちがやっている大事なことは、歌詞をいかに理解するかよりも、歌詞の世界を頭に描けるか。これが上手な楽器演奏とは違う一面なのよ。例えば「今日の夕方、学校の校庭」とか「帰りの商店街」とか、どういう場面で、どんな歌があるのか、どんな情景が思い浮かぶか。こういうことができるやつが、5年10年後に差が出てくる。リズムの面では、16分音符の長さなんかは、ジェームス・ブラウンをチェックしてください。

有澤:ありがとうございます!

もうすぐ卒業の植村あかり。つんく♂「こんなに成長するんだと思った」

つんく♂:今日はありがとう。みんな個性があって面白かったです。ぜひ前編も読んでみてください。今日の感想をメンバーごとに伝えていきます。

有澤は頭でっかちにならないように、飲み込んで一回やってみるようにしてみましょう。

遠藤はさっきも話したように、お子ちゃまで済まさないように大人になる癖をつけること。

工藤はタコ星人だけど、音楽を理解するようになると違うタコのよさが出てくるはずだから、もっと音楽の深さを知ってほしいかな。ハロー!プロジェクトのほかの楽曲も聴いてみてください。

入江も同じで経験値が低い分、Juice=Juice以外のハロー!プロジェクトの曲を聴いて、ビデオも観ておくと、後輩が増えてもびびらなくていいかな、と思います。

植村はもうすぐ卒業でしょ。どうしていくかを見据えて、残りの何カ月かを楽しみながら過ごしてください。正直、植村のライブを観て「こんな風になるんや」と驚いた。キレが出ていて、「こんなに人間って成長するんだな」と思わせてもらいました。卒業後もいい方向へ行けるように、これからも努力してもらいたいと思います。

メンバー:ありがとうございました!

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