孫泰蔵が見破った「つんく♂プロデュース法と世阿弥との共通点」 孫泰蔵×つんく♂スペシャル対談
『凡人が天才に勝つ方法』で感じた世阿弥の『風姿花伝』
孫:つんく♂さんの『凡人が天才に勝つ方法』。僕、何度も読ませていただきました。
つんく♂:ありがとうございます!
孫:この本って、読みやすくて、わかりやすい、つんく♂さんのノウハウがつまったビジネス書のように見えますが、僕には全然違って見えたんです。
つんく♂:それはどういうことでしょう?
孫:僕、ものすごく好きな本があるんです。それは、能楽の礎を築いた世阿弥が書いた『風姿花伝』という書。世阿弥が能についてのさまざまな技法や心得をまとめたもので、長らく一子相伝で、限られた人しか読めなかったそうです。
僕はつんく♂さんの本を読んで、なぜか『風姿花伝』を読んでいるような気持ちになったんです。大げさじゃなく、この本には、つんく♂さんの頭の中というか、超一流のトップを極めた人たちだけが体得したものが言語化してある。だから『風姿花伝』のような迫力を、僕は感じたんです。
つんく♂:ほめていただき、ありがとうございます。孫さんに言われて、僕もずいぶん前に現代語訳の『風姿花伝』を読んだのを思い出しました。
世阿弥に学んだプロデュース業
つんく♂:プロデューサーとして10代の女の子たちとの距離感、指導法や伸ばし方、自分のアーティストとしてのあり方などなど、いろんな未知の世界に突入し迷想した時期があったんです。自分がロックの世界で戦うロジックのようなものはアマチュア時代から積み上げてきたものを持っているけど、まったく経験値のない彼女たちに、何をどう届けていくのが正しいのか。心の中がずいぶんモヤモヤ、ドギマギしてた時期があったんですね。
そんな時期に世阿弥の『風姿花伝』と出会ったんですよ、突然に。それを読んだ時、そのころ抱えていたモヤモヤやドギマギが一気にクリアになったんです。一つ一つの疑問が一つ一つ解き明かされていくような感覚で、パッと腑に落ちました。
孫:やはりそうでしたか!
つんく♂:世阿弥は、役者の生涯をいくつかの時期に分けて、それぞれ年齢に応じた芸の磨き方があると説いていますよね。これがまさにメンバーたちに当てはまったんです。
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