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孫泰蔵が見破った「つんく♂プロデュース法と世阿弥との共通点」 孫泰蔵×つんく♂スペシャル対談

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」。今回は起業家の孫泰蔵さんとの対談です。孫泰蔵さんは、あの孫正義さんの弟さん。大学在学中からIT企業の立ち上げに関わり、その後はゲーム会社など数多くの企業を立ち上げた日本を代表する連続起業家。そして世界中のベンチャー企業を支援する投資家でもあります。また2023年2月には『冒険の書』を上梓されました。話題はお互いの本の感想から音楽の深い部分まで広がり、盛り上がりました。
<文:山崎潤子 /  写真:尾形文繁>(取材協力 Rinnebar

『凡人が天才に勝つ方法』で感じた世阿弥の『風姿花伝』

孫:つんく♂さんの『凡人が天才に勝つ方法』。僕、何度も読ませていただきました。
 
つんく♂:ありがとうございます!
 
孫:この本って、読みやすくて、わかりやすい、つんく♂さんのノウハウがつまったビジネス書のように見えますが、僕には全然違って見えたんです。
 
つんく♂:それはどういうことでしょう?
 
孫:僕、ものすごく好きな本があるんです。それは、能楽の礎を築いた世阿弥が書いた『風姿花伝』という書。世阿弥が能についてのさまざまな技法や心得をまとめたもので、長らく一子相伝で、限られた人しか読めなかったそうです。

僕はつんく♂さんの本を読んで、なぜか『風姿花伝』を読んでいるような気持ちになったんです。大げさじゃなく、この本には、つんく♂さんの頭の中というか、超一流のトップを極めた人たちだけが体得したものが言語化してある。だから『風姿花伝』のような迫力を、僕は感じたんです。
 
つんく♂:ほめていただき、ありがとうございます。孫さんに言われて、僕もずいぶん前に現代語訳の『風姿花伝』を読んだのを思い出しました。

世阿弥に学んだプロデュース業

つんく♂:プロデューサーとして10代の女の子たちとの距離感、指導法や伸ばし方、自分のアーティストとしてのあり方などなど、いろんな未知の世界に突入し迷想した時期があったんです。自分がロックの世界で戦うロジックのようなものはアマチュア時代から積み上げてきたものを持っているけど、まったく経験値のない彼女たちに、何をどう届けていくのが正しいのか。心の中がずいぶんモヤモヤ、ドギマギしてた時期があったんですね。

そんな時期に世阿弥の『風姿花伝』と出会ったんですよ、突然に。それを読んだ時、そのころ抱えていたモヤモヤやドギマギが一気にクリアになったんです。一つ一つの疑問が一つ一つ解き明かされていくような感覚で、パッと腑に落ちました。
 
孫:やはりそうでしたか!
 
つんく♂:世阿弥は、役者の生涯をいくつかの時期に分けて、それぞれ年齢に応じた芸の磨き方があると説いていますよね。これがまさにメンバーたちに当てはまったんです。

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