「凡人が天才に勝つ方法」に込めた想い。
ついに完成! 3年かけて書き上げた、久しぶりの著書です!
タイトルの通り「凡人が天才に勝つ方法」を、いろんな例と共に、僕個人やモーニング娘。のプロデュースで体感した具体的なエピソードを交えて、読みやすく仕上げたつもりです。
「要するに人口の95%以上は凡人なんだ」というのが僕の仮説持論です。だとして「じゃあ凡人が一体どうやったら『天才』に勝てるのか」ということをいろんな角度から分析し、僕なりに言語化しました。
あ、当然ながら僕も「凡人」組の一員です。それを前提に、先ほど「人口の95%以上が凡人だ」と、仮定しましたが、さらに重要なポイントがあります。
実は、このコラムを読んでくださってるほとんどの方が、もともとは「天才だった」ということです。
「え? 俺も天才だったって? 普通に生きてきたけど、どういうこと?」と、なってると思いますが、心配ご無用! あなたも立派な天才あがりの凡人です。
なぜかというと僕たちは生きていく途中で、どんどん凡人化していきます。
どんなに緊張感ある状況でも、赤ちゃんは腹が減ったら泣きます。オムツが濡れたら泣きます。不愉快な状態をわかってくれなかったら、わかってくれるまで泣きます。食べたくないものはべ〜っと出します。美味しいものは何度も欲しがります。楽しくないものはひっくり返します。描きたいところに落書きします。おんなじことを何回も「やってくれ〜 やってくれ〜」って要求します(いないいないばぁー、とかね)。そして、眠くなったら寝ます。目が覚めるまで寝ます。
これは、僕ら全員がやってきた天才的行動です。考えるより先に湧き立ってきた感情や欲望を優先させた衝動的行動。これこそが、まさに天才的行動です。こんな行動をとってても許されるほどすごいアーティスト、それが「天才」なわけです。
これを普通の会社員がやってしまうと、「うん、そうだね。もう来週から来なくっていいよ。うちの会社」ってなると思います。
僕らの職業もそうです。「ああ、つんく♂に曲頼んだけど、いつできてくるかわからんよ。もう待てないね」とか「クライアントが希望してるものと全然違う曲しか書けないんだよ。ありゃもう無理だね」となります。
それはなぜか。僕は「天才」ではないからです。じゃあ、何なのか?
僕は普段は「プロ」という立場(肩書き)で仕事をさせてもらってます。ちなみに「天才」という職業(肩書き)はございません。これも僕の持論です。
この本では、その辺の立ち回り方。「プロ」としてすべきこと。ワンランク、2ランク上の「プロ」を目指すならどうすべきか。……というようなお話を、わかりやすい例とともに書き上げました。
どうせ大抵の人が「凡人」なのであれば、誰しにも「ごぼう抜き(大逆転)」出来るチャンスはあるのではないかと考えています。それにはちょっとした努力が必要です。
でも、それが「好きなこと」ならどうですか?
釣りが好きな人が、前日に仕掛けを段取りするのは苦痛ですか? 朝早く起きるのって、努力ですか? ゴルフが好きな人も打ちっぱなしで同じことを繰り返しますが、それって苦痛ですか? 努力ですか?
いえいえ、単に楽しんでますよね?
料理が好きで何個もじゃがいもの皮を剥くのも、鍛えるのが好きでトレーニングジムで重いものを持ち上げるのも、本人にとっては苦じゃないはずなんです。だって好きなことだから。でも、トレーニングに興味ない人からしたら、わざわざ重たいバーベルをなぜ持ち上げなきゃいけないのか、まったく意味がわかりませんよね。
この「好きなこと」を自分の職業(プロ)とミックスすることで、「他のプロ」との差別化、個性化をしてくことができます。そうすることが「ごぼう抜き(大逆転)」の一番早い方法だと考えます。その辺のことも具体的にまとめました。
そして、もう一つ別の尺度からのお話が「アマチュア is ナンバーワン」説です。
世の中に存在する人は「天才」「プロ」「アマチュア」の3つに分けられると考えます。僕はかつて「アマチュアバンドマン」でした。今は「プロの音楽プロデューサー」です。プライベートでは「アマチュアとしてBBQ」を楽しみます。でも「プロの料理人」ではありません。当然、「天才料理人」でもありません。
「そりゃ、そうだろう。わかるよ」って思っていただけると思います。じゃあ、何が「アマチュア is ナンバーワン」なのか。
僕らプロにはいつも「締切」や「クライアントからの希望や条件」や「予算」や「コンプライアンス」など、いろんな縛りがあります。プロはその枠の中で物事をこなしていって、初めて評価されます。
それに対して、アマチュアは誰にも何も気にせず、自分のお小遣いの範囲であればレコーディングしようが、高い楽器を買おうが、ライブハウスを貸し切ってライブをしようが自由です。
どんな歌詞だろうが「それはクライアントNGなんで……」と言われることもありません。借りてる時間内なら、何時間演奏しようが、失敗しようが、全部自由です。
ね。アマチュアって最高じゃないですか? ナンバーワンですよね!
「あれ?ではプロはよくないの?」「天才の方がよくない!?」
はい、それも大事です。著書の中では「アマチュアのいいところ」、「天才のいいところ」「プロのなせる技」など、細かく説明しています。
最後に、今回の著書で一番伝えたかったのは、令和の生き抜き方、戦い方です。
僕は昭和に音楽というものを体に叩き込み、平成にアマチュアを経てプロになり、たくさんのヒット作を作ることが出来ました。そして令和に入り、皆と一緒にコロナとも闘い、日本のエンタメの壁についてもよくよく考えました。
僕らが小学生の頃は、とにかく何かに秀でてるやつには敵わなかった時代でした。いや、今もそうですね。大谷翔平選手だって、「芸は身を助ける」を完璧に実証しています。
「ああいう天才には結局叶わないじゃん!」ってまあ、確かにそうです。きっと大谷翔平にはなれないでしょう。いえ、その水準にチャレンジしようとしないでください。ただし、周り見渡してほとんどの人が凡人なのであるならば、全てを諦めるのはちょっと早くないですか?
僕もあなたもきっと今からエンジェルスの入団テストを受けることはきっとないだろうし、毎日1000回素振りが出来るほどの野球愛はないかもしれません。ビールを飲みながら楽しく観戦してる方がよっぽど幸せですもんね。
しかし、そんな天才と呼ばれる選手にも、今、テレビやSNSやいろんなメディアでもてはやされてる時代の寵児たちにも、令和時代に欠かせない重要な点があると思います。
それは「バランス力」です。
いくら突き抜けた才能があっても、5年10年20年と戦っていきたいのであれば、やはりバランス力に欠けた人間は頓挫していくこととなるでしょう。どんな人気者だって、業界内での行儀の悪さや、評判の悪さがあってはダメです。
コミュニケーション能力、気配り、気遣い、根回し、後フォロー、などなどは、社会(ビジネス含む人間コミュニティー)において、とても大事です。好きなことを続けるためにも、やりっぱなし、頼りっぱなし、任せっぱなし、では、人は離れていってしまうものです。
昨今はSNSでも回転数、再生数を上げるために多少の炎上を歓迎する兆候にはありますが、時代の波やメディアの仕組みが変わったら、流れも一瞬にして変化すると思われます。
バランス力というのは、ごぼう抜き(大逆転)に必要不可欠です。その辺の対応策もわかりやすくまとめてあるので、興味を持った方は是非本書をお手に取って読んでください。
noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のコラムなどでコツコツ書いてきたものの集大成! ってな気持ちでサクサク仕上げる予定でしたが、3年前と今では時代の感覚が全く違うのも事実です。
そういえば毎日毎日顔を見てた住居受付の女性スタッフ、いつの間にか辞めてしまってたけど、ずっとマスクしてたから一体どんな顔だったんだろう……って思ったままのお別れだったな〜。みたいな。そんな3年間でしたよね。
僕は声を失ったので、そもそもSNSでのコミュニケーションがメインだったけど、アメリカと日本との会議は当時はSkypeを繋いでいました。3年以上前なら「Skypeしましょ!」って日本で提案しても、「え〜っと、どうやってやったらいいのかわからないので、会社に行って、会社の技術者に繋いでもらってなんとかやってみますね!」なんて言ってたのが、今や小学生でもZOOMでササッとお喋りしてる、そんな時代です。
先ほどバランス力の話をしましたが「時代適応能力」も、大事すぎるほど大事なことですね。
正直、息子が毎晩ヘッドセットをつけて、友達とゲームやってるその姿を見て「なんでゲームばっかりやってんだ!」って思ってる僕は、もう時代に篩い落とされてるのかなぁ……って思ったりしますからね。使い方もわからないで怒ってるんだから。
ま、愚痴ってても仕方ない。話を戻しますね。
モーニング娘。を含めたいろんなアイドルの成長期を、時代の変化とともに見てきました。ハッパもかけ、コツも伝え、昨日まで「クラスにいる誰か可愛い子」だったのが、一気に国民的スターになるまでのお手伝いもさせてもらいました。だからこそ「凡人もスターになれる!」という手応えを、十分に感じています。
本書ではシャ乱Qやモーニング娘。が素人(アマチュア)から這い上がっていく例とともに、わかりやすく「凡人が天才に勝つべくメソッド」を言語化しています。
どうぞ、人生のちょっとした参考に!
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