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「理想通りに育たない方が良い」僕自身が痛感した、プロデュース論。

マガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のご愛読、ありがとうございます。日々の暮らしやプロデューサーとしての仕事の中で、つんく♂がたどり着いた一つの答えについて、書き下ろしコラムをお届けします。
<文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之

バンド、シャ乱Qでデビューした20代の頃は「早く売れたい!」と思っていました。

でも実際に25〜26歳でヒット曲が出た頃には「いつまでもつかな。せめてあと2、3年食えたらええな。なるだけ貯金しておこう」ってマジで考えていました。正直、何十年も食べられるとは思っていなかったんです。当時は仲間のバンドマンもメンバーもオリコン上位はみんな外車に乗ってましたが、僕は国産車。

ただ、その代わりに「今の人気もいつまで続くかわからないし、下北沢でうどん屋さんでもしておきたいんですが」って事務所の社長に伝えたことはあります。「今は集中しなさい」って言われて「なんでやろ」って思ったこともありました。「俺の金やのに。自由に使っていいやん」って。

もちろん、社長の当時の判断は適切でしたね。だって、もしモーニング娘。のメンバーが「将来が不安なんでお店をしたいんです」って言ってきても「今は集中しなさい!」って言うもんね。

20代の頃の「副業」の発想は、単にプロとして一線で活躍し続けるのに自信がない自分への言い訳でしかなく、甘ったれた考え方だったと思います。

で、結局はシャ乱Qのヒット後、モーニング娘。等のたくさんのアーティストのプロデュースに関わることに。ヒット曲も出せたので、めちゃくちゃ忙しい日々を過ごしました。そして、気がつけば今、54歳になるまでなんとかこの道でやってこれております。一般的な会社員の定年が60歳とか65歳って言われておりますので、そういう意味ではゴールはもう見えてきた年齢です。

さて、タイトル。一体何が「理想通りに育たないのか」を、じっくりお話していきましょう。

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