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ハロプロ研修生「実力診断テスト」2021春 つんく♂による1万字超解説。(前編)

先日、横浜・ランドマークホールにて「Hello! Project 研修生発表会 2021 ~春の公開実力診断テスト~」が、無観客開催されました。当日の生配信中継を観賞しながら、つんく♂が書いた研修生分析コラムを前後編に分けて公開いたします。
(文 つんく♂ / 編集 小沢あや / イラスト みずしな孝之

今年の1月、タワーレコードの嶺脇社長との対談をきっかけに、昨年分のハロプロ研修生の実力診断テストを久々に見ました。

そこから時が流れ、2021年5月29日。今年もハロプロ研修生の実力診断テストが行われました。

思えば、第1回目の「実力診断テスト」は、僕が言い出しっぺ的にタイトルを決めて「やりましょう!」と、始まりました。なので、審査委員長を務めたわけですが……。

最初はいわゆる公開ダメ出し的な感覚と、各セクションの先生たちの目線で研修生をどう捉えてるかを知りたかったのもあって、各部署の先生に審査員をしてもらったりしました。

要するに、普段は「誰それ」のバックで踊ってるのが関の山的な彼女たちを一人ひとり分析してみましょう、というのがそもそもの趣旨です。当時のAKBグループの研修生たちに比べたら、人数も少ないハロプロ研修生。全員見てもいいよね、ってこと。

それと、地方組の研修生らも「私たちどうせ東京じゃないし別に……」みたいな感じで離れてしまって、大事な逸材を逃してしまってはもったいないと思ったんですね。その子らの普段の努力や資質に対して、きちんと賞賛してあげれる場所として、始めた試みです。なにより、個々で見ていくとやっぱり、僕からの印象も変わるし、音楽の作り方も変わってきます。

で、そんな始まりだったわけですが、あれからなんだかんだあって、しばらく研修生たちを見る機会もなかったんです。でも、タワーレコードの嶺脇社長との対談をきっかけに、昨年夏の実力判断テストの動画を見ました。

その時は、テストが終わってからずいぶん時間も経っていたし、その時期の空気感、流れ感みたいのもわからず解説しておりました。恐縮……。

この日はタイミングもあったので、オンライン・オンタイムで見せてもらいました。なので、審査員の先生たちの審査する空気感も感じつつ、じっくり1対1で見させていただきました。

さて。時代の流れもあるし、アイドルの社会的な立場もどんどん変わっていきます。音楽の流行も当然移り変わったわけです。

当然、日本国内における日本総アイドル時代の中を育ってきたというのもあって、ハロプロ含む、その他のJ-POP界におけるアイドルたちのことは、彼女たちも当然知っているでしょう。やはりBTSの世界的ヒットによって、K-POPスタイルの文化にも、当然興味があるでしょう。素直に、気になっているはずです。

さらに昨今は、これまでの芸能界ではない場所から(SNSメディアの中からとかね)新しいコンテンツも生まれてくるようになりました。ということは、これまでにないスターの形があるんです。思春期である彼女たちにとって、時代時代の中で出現する新たなるスターにはいろんな形で憧れるであろうことは確か。

僕の感覚でいうと、昨今は急激にソロアーティストの時代に突入したなと感じています。少し前までの集団ユニゾンパワーの集団の中から「僕の」を探す時代から、最初から単体の状態ではっきりとした振り切った個性を提供するスタイルで売り込むというようなセルフプロデューススタイルが目立っているように思うんですね。

(もちろん、それでも宝塚歌劇団のように今もなおそれまでと同じようなスタイルで文化継承され、根強いファンで応援されているコンテンツもそこにあるのは事実です)

と、そんな時代の中で、行われたハロプロ研修生の「実力診断テスト」。

先にメンバーのことを話すと、先ほど話した時代の流れと、研修生としての人数も縛られてきてるのも相まって、種々の個性が際立ったと感じました。

もちろん、皆の年齢も「子ども」から「大人」へと成長してるという自己への覚醒もあるでしょう。社会の中でハロプロの中における「自分」がどうありたいか、という目覚めを感じる子がたくさんいました。

昨年の「実力診断テスト」から約1年の時間をどう過ごしたか、本人が一番よくわかってるとは思いますが、とにかく10代の1年は違う人になれるくらい変化、成長の出来る時間。

それでは、昨年とは明らかに違う彼女たちをじっくり見てきましょう!

このnoteを読んでくださるみなさまへ

一人ひとりへのコメントの長さが違うからと言って、それが良い悪いの評価ではありません。長い場合は、その子の歌で思いついた他のメンバーにも言えるような例やエピソードを交えるので長くなっている、と思ってくださいね。

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