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「まさか私が歌手しちゃうとは」関水渚&森香澄×つんく♂『バッキャロー!LOVE』座談会

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」。今回はドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日)でスケ番ご当地アイドルユニット「古くさい街角のスケ番ズ」を演じた関水渚さんと森香澄さんとの座談会です。

『伝説の頭 翔』は、2003〜2005年に『週刊少年マガジン』で連載された同名漫画(作/夏原武 漫画/刃森尊)を実写化したドラマ。関水さんと森さんは、主人公が推すアイドルユニット「古くさい街角のスケ番ズ」のエース・藤谷彩とリーダー・辻沢京子を演じ、7月にはドラマのキャラとして楽曲『バッキャロー!LOVE』をリリースしました。

この曲はつんく♂がプロデュースし、ファンの間でも「これぞ、つんく♂サウンド!」と話題になりました。制作背景や、2人が芸能界に入ったきっかけなど、たっぷりとお話しています。後編はマガジン内で明日公開予定です。
<構成 結井ゆき江 / 編集 小沢あや(ピース) /撮影 YOSHIHITO KOBA>(取材協力 note place

ダンスはやっぱり「ビート」から

(左からつんく♂、森香澄、関水渚)

つんく♂:今年の夏に六本木のヒルズのイベント広場でテレ朝のドラマ『伝説の頭 翔』のイベントがあって、そこで「古くさい街角のスケ番ズ(以下、街スケ)」を初パフォーマンスしたよね。あの日、僕は海外から早朝に日本に帰国して「さあ寝ようかな」と思っていたところでした。そこにスタッフから「今日、街スケがイベントで楽曲を初披露するので、現場に立ち会ってきます」って連絡があって。「あら、だったら俺も観に行こうかな」ってことで、バタバタと向かったんだよね。

森:私たちはつんく♂さんがイベントを観に来るって聞いてなくて、終わってから知ったんです。びっくりしました。

関水:事前に知らなくてよかったよね。パフォーマンスが全部すっ飛んでたかも。

つんく♂:家族に「一緒に観に行く?」って聞いたら「行く!」ってなって、みんなで観に行ったんだけど、うちの子たちにはあの現場が新鮮だったみたい。

森:どんな様子で観ていたんですか?

つんく♂:急遽だったので、「後ろの方でこっそり観ようか」と思ったけど、現場へ行ったら番組のプロデューサーさんたちに「こちら確保してます!」みたいな感じで、結構前の方で観せてもらいました。家族たちは原作の漫画や内容を知ってたわけじゃないから全体は把握できていなかったけど、ワイワイしてるお祭り感や、日本のエンタメ文化に触れる感じが懐かしい&新鮮だったみたいで、とても楽しそうだった。なのでハワイに戻ってからも、ドラマを一緒に観ていました。

森・関水:うれしい! 

つんく♂:ドラマの時代設定は現代だよね。うちの子どもたちはその辺がうまく理解できていなかったかも。16歳と13歳だから、世代的にスケ番とかヤンキーにリアリティがなくて。でも、日本にそんな時代があったことは過去のドラマや映画やアニメで知ってるので、頭の中でゴチャってしてたかも。実は僕も勝手にタイムスリップネタだと思い込んでいたし(笑)。

森:つんく♂さん自身は、ステージをご覧になっていかがでしたか?

つんく♂:面白かったね。まあ、ちょっとした内輪ノリ感含めても、みんなが撮影で楽しい日々を送ってるのが伝わってきた。実は街スケの『バッキャロー!LOVE』の初ステージを観た時、「わ!ちゃんと踊ってるやん!」ってびっくりしました。

森:イベントに向けて練習を重ねたもんね。渚はほぼ未経験の状態だったから。

関水:そうなんです。街スケのメンバーはパフォーマンスが上手で。香澄ちゃんからは、「お客さんの方を向いてポーズを取った方がいいよ」とか、いろいろと教えてもらいました。

つんく♂:あの日までにどっかで披露してたんかな? って思うほど完成してて驚いた。

森:私は学生時代にダンス部だったんですけど、ちゃんとしたステージに立つのは初めてだったんです。アイドル好きだけど、ファン目線でしかなくて。そういう意味では、街スケのメンバーは全員、正解がわからないまま突き進んでいましたね。もちろん、ダンスや歌は先生から教わりながらでしたけど。

つんく♂:全体的にフニャフニャしているんちゃうかな〜って心配してたんよ。そこまでの流れをわかってないから、子どもを誘った手前、ちょっとヒヤヒヤしてた(笑)。

森:しかも生歌で。

つんく♂:街スケの振付を担当した高田あゆみ先生(元キャナァーリ倶楽部)は、僕がプロデュースしていたグループのメンバーだったんだよね。なのでつんく♂イズムを理解した上で振り付けもまとめてくれてると思ってたので、信頼はしてたんだけどね。僕の前に高田先生が座ってたけど、彼女の方がもっと冷や汗かいてたかも。僕の気配を背中に感じただろうし(笑)。

森:高田先生からは、ダンスの振付を入れる前に「まずは音楽を聴いてビートを刻む練習をしよう」って言われました。

関水:あったね!

つんく♂:(拍手)その指導法は正解! 振付から入ると、そこばかり気になるからね。ノリが合っていれば、ダンスの振付を間違っても違和感がないわけだから、まずは曲のリズムを体に叩き込む。このやり方は、あの頃からずっとやってる手法で、高田先生も継承してくれてるんだね。

森:全体がまとまって見えるってことですか? 

つんく♂:(うなずく)

関水:そういう意図だったんですね。そこまで理解できていなかったな。

ストーリーが進むにつれ、悲しくも聴こえる楽曲

つんく♂:ドラマ内で『バッキャロー!LOVE』が挿入歌としてたくさん利用されていて、嬉しく思っています。

森:撮影中もみんなが曲を口ずさんでいたんですよ。ドラマの出演者にとっても、スタッフにとっても、もちろん観ている人にとっても忘れられない曲になったと思います。

関水:ずっと頭に残る曲だよね。

つんく♂:あの日、初披露のイベントなのに、ファンや観衆から「オイ!  オイ!」の合いの手が自然と入ってたのは面白かった。イベントの前説で指導や指示があったわけでもないんでしょ?。

森:自然発生しましたね。イベントで起きた合いの手を、そのままドラマでも使いました。

つんく♂:確かに「ここに合いの手を入れたくなるよね〜」って思いながら作ってたかな。

森:作曲する時も、「ここに合いの手が入るだろうな」って想像しているんですか?

つんく♂:(うなずく)今回は「『スケ番』をというワードをテーマに曲を作ってほしい」とリクエストをいただいて、その期待にちゃんと応えたいなと思ってました。結果的に出来上がったサビメロの「切ないのにノリのある感じ」には手ごたえもあったし。でも、実際にイベントで盛り上がってて安心したよ。

森:初めて聴いた時に、「これぞ、つんく♂さんの曲だ!」って感動しましたよ。最大限の力を注ごうって決めて、何回も聴きながら練習しました。

つんく♂:ドラマでは最終回に近づくにつれて、同じ曲なのにどんどん悲しく聴こえてきて、より切なくなっていった気がする。

森:物語が進むと主人公の山田達人(高橋文哉)の過去がわかるんですけど、そうするとなぜか曲が悲しく聴こえるんですよね。とても不思議でした。曲調は明るくてアップテンポなのに。

関水:ドラマの色んなシーンで曲が使われたからこそ、登場人物のいろんな気持ちが乗ったよね。

森:最後は街スケのメンバー・藤谷彩(関水渚)の生誕祭で曲に合わせてみんなで踊るんですけど、撮影自体も最後の方だったから「これがみんなが集まる最後のシーンだ」って。本当に忘れられない一場面になりました。

つんく♂:へ〜! このドラマがどんな感じで世の中にハマったかはわからないけど、このドラマに出演していた役者さんたちは、きっとこの先いろんな場面で活躍してくんだろうな〜って思いながら見てました。そんな顔ぶれだったよね。本当に個性豊かな同世代のキャストが見事に揃ってたと思う。

森:キャラが濃かったですね。みんなそれぞれしっかりと役作りして撮影に挑んだと思います。

つんく♂:5年後には「あ! あの時のあの子だ」ってなりそうだなと思いました。

ホリプロスカウトキャラバンと局アナ それぞれのキャリア

つんく♂:では、ここからは森さんと関水さん自身について質問していきたいんだけど、まずはどちらが先輩なの?

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