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つんく♂が好きなシド・マオの楽曲を深堀り。 時代の裏側を読む歌詞の書き方

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」、対談企画第5回目ゲストはシドのボーカリスト・マオさん。後編は「年齢を重ねたバンドマンはどんな歌詞を書くべきか?」を軸に、作家としてのトークで盛り上がりました。時代をつかむ歌詞はどんな風に生まれるのか? つんく♂流の答えとは。対談前編はこちら。
(文 藤谷千明 / 編集 小沢あや

ディナーショーは、若いうちにやろう

つんく♂:例えば、俺はマオに昔から「ディナーショーやれ」とか本気で言ってたよね。今後、どうするの?

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マオ:つんく♂さんにそう言ってもらえたことがきっかけで、自分の中に扉が開いたんですよ。大人っぽい雰囲気でライブをやってみたいという想いも強くあったし、ビルボードライブ東京でライブもやったんです。

つんく♂:うんうん。

マオ:シドはロックバンドとして活動していますが、ソロの活動ではそういう要素はどんどん取り入れていきたいですね。つんく♂さんのディナーショーも観せてもらって、「うわ〜! こういう世界もあるんだ」と、インパクトもすごかったんです。コロナが落ち着いたら、またあんな風に皆でラグジュアリーな気分で楽しめるような1日を過ごしたいと思ってます。

つんく♂:俺のときも、最初はどういう流れでやるのかお客さんもわかってなくて、ちょっと危なかったんよね。ディナーショー定番のお客さんのテーブル周りを歩きながら歌って、お客さんと握手したり、おひねりもらったりとかあるやん? ああいうのを、イベンターさんのアドバイスもあって見様見真似でやってみたの。ファン的には「わ!つんく♂が降りてきた!」「あの子と握手してる!私も!」みたいになってドバーってみんなが集まってきたりで危なくてね。グラスとか割れるし。

マオ:大変!

つんく♂:「迷惑かけてしまったし、ホテルさんサイドも、来年は受け入れてくれないかなぁ……」とか、議論にもなったんよ。でも、ホテルとしても、往年の演歌の大先輩たちだけでは先細りするだけというのもあって、僕とも継続してお付き合いくださって。でも、何年かやってるうちに、お客さんも俺も成長して、ライブ会場とは違う楽しみ方を覚えたんよ。落ち着いてディナーショー自体を楽しんでくれるようになっていった。

マオ:そうなんですね。

つんく♂:それが15年以上前の話。なので、マオとか俺よりも若手の世代にもディナーショーやってほしいと思ってたんよ。違和感がある、若手のうちにね。でも、今となっては、マオのファンのみなさんも普通にディナーショーが似合う年齢になってきたもんな。


マオ:あ〜、違和感あったほうがよかったんですかね?

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つんく♂:「マオくん、まだ早いよ〜」って言われるくらいが良かったかもね。ファンの子たちが早くディナーショーに馴染んだほうが、長くやれるし。今からでも遅くないよ。ビルボードやコットンクラブもいいけど、やっぱりホテルでやっといたほうがいい。会場練り歩けないし、ビルボードやコットンクラブは東京にしかないからね。地方には、会場がないやんか。

マオ:そうか、ホテルなら全国にあるから、どこでもできますね。やります!

つんく♂:ディナーショーとコンサートはお客さん、頭の中で別のものだと思っちゃうからね。早めにやったほうがいい。

マオ:こないだのサロンのトークでもおっしゃってましたもんね。「家出るときからディナーショーが始まってる」って。

つんく♂:そうそう、実際はディナーショーを申し込んだ時から始まってるかもね。ファンはディナーショーに行くと決めたら、ドレスやアクセサリー買ったり、何日前から美容院予約したりして、ずっと楽しみにしてくれてるんよ。それは回り回って日本の経済効果にもなるからね。


マオ:たしかに。

つんく♂:もちろん、コンサートはコンサートでしっかりやってね。こんな話するのはマオくらいだわ(笑)。

マオ:やるしかないですね! ディナーショーが実現したら、MCで今日のつんく♂さんのお話をさせていただいて「今日、やっとやれたんだよ!」って言いたいですね。それを目標にしたいです。

つんく♂:で、そこで俺がちょいと飛び入り演奏しに行ったらええか(笑)。


マオ:えー! 本当ですか? 来てくださるんですか?

つんく♂:ダメ出ししないといかんやろ(笑)。で、ここまで話聞いてきて思ったけど、こっから10年くらいの未来、なんとなくヴィジョンがあったりする? シドとマオ、2つの道を、使い分けていくつもりなの?

マオ:シドはずっとやり続けたいです。メンバー4人、全員がそう思っているバンドです。変わらず続いていく道ですが、17年もやっているので、「音楽的なところで、新しくてワクワクする事はなんだろう?」と、常に模索しています。壁を破れば、またどんどん新しいシドが始まっていくのかなって。それが楽しみなんです。

つんく♂:(頷く)

マオ:ソロに関しては、逆にフットワーク軽くやれるのがいいですね。僕はずっと動いてないと嫌なタイプなので、そこを解消してくれるのがソロ活動なんです。ソロが好きなファンもいるので。これからも両方並行してやっていくつもりです。

「『つんく♂さん節』みたいなものを、シドでも作りたい」

つんく♂:音楽以外のことは、結構やってるん? 

マオ:アクセサリーブランドとか、色々やってます。全部「ファンの皆と楽しくやれたらいいな」って感じで、あまり深くは考えてないですね。「こういうのを表現したい」とかは、もしかしたら、シドでもう満たされているのかもしれないです。

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つんく♂:色んなこといっぱいやり始めたら、めっちゃ忙しくならない?

マオ:そこそこ忙しくなってきても、体が慣れてきて、なんか物足りなくなる……っていうタイプなんですよ。もしかしたら、一緒にやってくれているスタッフのほうが大変かも(笑)。むしろ、つんく♂さんのほうが、いろいろやってるし忙しいですよね?

つんく♂:今いるハワイでは、機材のセッティングから全部ひとりでやるから忙しいね。アマチュアバンドみたい。ライブハウス行って、ギターアンプとドラム組んで……みたいな、あの頃の感じ(笑)。

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マオ:それは本当の意味で「忙しい」ですね(笑)。


つんく♂:でも、モーニング娘。をプロデュースしていた頃の忙しさを体験してるから、余裕やね。今は。

マオ:あの頃はどのくらいの忙しさだったんですか? 睡眠時間とか。

つんく♂:あの頃は、寝て起きたらスタジオおって、スタジオで出前食べて……。

マオ:多すぎて、ごちゃごちゃになってきません?

つんく♂:曲を作ったり、書いたりする忙しさはあったけどね。マネージャーとか弟子とか、制作のスタッフがそれ以外はだいたいやってくれる。俺は現場では制作だけやればいいからよかったし、当時は今のマオと同じである程度制作のリズムが出てくると、「もっともっと」と思ってやってたように思う。


マオ:つんく♂さんのスピード感、僕とはぜんぜん次元がちがいますけどね。

つんく♂:最初はシャ乱Qだけだったけど、モーニング娘。が増えて、タンポポ、プッチモニが増えて、松浦だ、藤本だ、とだんだんとできるようになっていったんよ。曲、めちゃめちゃ作ってたな〜。忙しかったけど、ずっと楽しかったよ。

マオ:この対談決まった時に、「つんく♂さんの歌詞を見ておこう!」と思って調べたら、曲数がえげつなくて(笑)。僕が知ってる曲だけでもすごいことになってたんですよ。全部で、何曲くらいあるんですか?

つんく♂:JASRACに登録されているのは1900曲くらい?

マオ:すっご! 全部覚えてるものなんですか?

つんく♂:何回もレコーディングしたのは覚えてる。アルバムとか、カップリングとかでちゃちゃっと作って、ライブでやらない曲は覚えてないかもしれない。

マオ:ありますよね、そういう曲。でも「カップリングが好き」って子も、結構いるじゃないですか。

つんく♂:街角とかで「僕、あの曲好きなんです」って声をかけられて、「あれな! あれな!」って言いながら「どれ?」って思ってることもあるな(笑)。その場で、自分でググるもん。

マオ:そんなことが(笑)!

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総合エンターテインメントプロデューサー / TNX株式会社代表取締役社長。1992年、ロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビュー。音楽家として作詞・作曲と、「モーニング娘。」をはじめとした数多くのアーティストプロデュースを手がける。