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「凡人の仮想敵」のお話と、9月の振り返り。

マガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」のご愛読、ありがとうございます。今回はつんく♂が帰国中に考えた「天才ってなんぞや?」とその答えと、ゲスト出演した番組やメディアの感想をひっそり綴ります。
<文 つんく♂ / 編集 小沢あや(ピース) / イラスト みずしな孝之

今年もあともう少しだね〜。早いっす。

さて、9月を振り返りますと、9月20日に著書「凡人が天才に勝つ方法」が発売されたのもあって、日本に戻っておりました。その間、プロモーション兼ねて、テレビやWEB媒体等、いろいろ参加してきました。

今回、著書出版にあたってWEB媒体含めて対談やインタビューを行う中、改めて自分なりに「天才ってなんぞや?」そう考える時間もありました。

天才ってなんぞや?

僕の書いた本の定義で言うと「つんく♂も凡人である」「凡人とは経験値を積み上げればプロになれる」「凡人は無責任なままアマチュアとして楽しむ権利を持っている」「天才にはひらめきが降ってくる」。

要するに、2種類のプロとアマチュアという「凡人」と、それを超越したある社会から逸脱した世界にいるべき「天才」が存在するというお話です。

最近いろんな方とお会いする中で「あなたは天才ですか?」という質問をしました。当然ながら、「おお、俺は天才だ!」と返す方はいませんでした。

まあ、そうでしょう。おそらく天才がこの世にいたとして、「俺、天才やし」って本気で思ってる人はいないんじゃないでしょうか。もちろん自虐的に、もしくはトークの展開的に「俺は天才やから、一緒にせんといて」みたいなパターンもあるとは思いますけどね。

もしかしたら本当は自覚してる人がいるのかもしれませんが、そんな人ほど他人には口外せず、自分だけが「俺、天才!」って思ってる可能性はあります。いや、本当の「天才」は「天才」という自覚がないから「天才」なのかもしれません(笑)。

で、何が言いたいかというと。実は「天才」って、想像上、もしくは宇宙人くらいに、存在するかしないか、わからない存在なんじゃないか」ってこと。どこにいるんだ!? って思えてきたからです。

「天才」は「凡人」にとっての「仮想敵」

それでも、「凡人」にとって、「天才」はこの世に居ていただかなければならない存在であるということを感じました。なぜなら、「天才」が居てくれないと「凡人」をやっていられない。もしくは凡人同士で相当激しい争い、もしくは優劣関係が強くなると考えられます。これはよくない。

そう考えると、「天才」は「凡人」にとって「仮想敵」として存在してもらうしかありません。「凡人」にとって「天才」は「仮想敵」だから、真似たり近づこうとするのではなく「違う種類のもの」として、まったく別の行動を行わなければなりません。そうすることで、凡人のアイデンティティは保てます。でないと、絶対に負けてしまうことが前提ですからね。

では、天才って? 「アインシュタイン」なのか「スティーブ・ジョブズ」なのか「モハメド・アリ」なのか「美空ひばり」なのか……まあ、明らかに僕らよりすごい人であることは確かです。

その方々は一般的な凡人と比べて考えられない何かすごいものを持っているとして、その人たちのやってきた何かルーティーンを書き出して、それを真似ればその天才たちの50%くらいには近づくんじゃないかって考えてみると……どうですか? そうなりますか? 

きっと無理です。おそらく、そもそものスペックが違います。宇宙にまで飛んでしまうロケットエンジンの真似をしても、50ccの原付では宇宙にはいけません。

なので、なんだったらその天才たちには悪いけど、「仮想敵」になっていただき「彼らはそもそも別だよ!」と考えて、天才以外の生き方を考えれば良いと論じたわけです。凡人の仮想敵として、これからもいつも研究の対象で居ていただくしかないなと思いました。

そして、彼らと違う行動をした方がむしろ結果が出やすいのではないかと。50ccのバイクはロケットのように宇宙にはいけないけど、街中はスルスルと軽快に潜り抜けていくよ! という考え方です。天才さんには悪いけど、

で、結局「凡人」が何をすればいいかというと、「単に打席に立つ回数を増やすしかない!」これです。

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