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つんく♂、鈴木おさむと未来のエンタメの在り方について徹底討論!

つんく♂

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」、放送作家の鈴木おさむさんとの対談。最終回となる後編では、これからのエンタメの未来について徹底討論。大ヒットを生み出すために必要なことから、韓国エンタメのすごさ、現在・漫画原作者としても活躍されている鈴木さんが感じる「新しい漫画」の波の到来など、刺激的な話題が続々と飛び出す。そして最後には、これからの未来を作る若き才能へのエールも飛び出すことに……。前編中編はこちら。
  <構成 田口俊輔 / 編集 ピース株式会社 /  撮影 ヤギシタヨシカツ
(取材協力 note place

大ヒットを生むヒントは「カードの切り方」と「曲の積み重ね方」

つんく♂:『SMAP×SMAP』という巨大な番組が幕を閉じ、SMAPも解散したことで、鈴木おさむの人生も大きく変わったと思う。

鈴木:仕事でも私生活でも、大きく変わりました。その一つとして、45歳あたりでLDHのスタッフから「GENERATIONS from EXILE TRIBEというグループがABEMAで番組(『GENERATIONS高校TV』)を始めるから、彼らのことをバラエティも含めて面倒を見てくれないか」と相談されたんです。

僕はこれまでSMAPと深く仕事をしてきたので、男性グループを手掛けたことがなくて。「これは新しいことを始めるタイミングなんじゃないかな」と思ったんです。メンバーにも当時22、3歳の子がいて、僕が出会った頃のSMAPと同世代で。

『SMAP×SMAP』という人生を懸けていた番組が終わり、「この先もっと前に出ていかないといけないな、責任を取る立場にならないといけないな」という気持ちが湧いてきたこともあり、「僕が彼らにやってあげられることがあるんじゃないか?」と、考えるようになったんです。なので、GENERATIONSの子たちと一緒に仕事をする時は、放送作家ではなく「演出」という、より責任ある立場で関わっています。

つんく♂:今、GENERATIONSと一緒に仕事することで、何が引き出せて、おさむちゃんとしては何が得られているの?

鈴木:彼らのようなLDHの若い子たちと一緒に仕事をしていると、例えばラジオ番組をやればやる度にトークのテクニックが上がっていっています。グループとして売れるとなると、歌のヒット、ドラマなどのヒットなどが総合的に爆発しないと、グループとして大ブレイクしないんですよね。

GENERATIONSはとても良い曲もあって、ヒット曲もあるんですよ。そのヒットを超える大ヒット曲が出来た時に、今やっていることの積み重ねがバーン!と爆発するんじゃないかと期待しています。今爆発の直前まで来ていて、あとはそこに向けての大大ヒットがあればいいんです。ただ、曲って難しいですね。良い曲が売れるとは限らないし、時代の流れもあって。

つんく♂:そう、難しいんだよね。さっきも出たSMAPの『Hey Hey おおきに毎度あり』は、関西人が「なんやコレ!」という思う反応を超えるパワーがあったから大阪でも売れて。あの曲は、僕には絶対に作れない。

それと同じように、本当のディスコ畑でやってきた人には『LOVEマシーン』は書けないと思う。僕みたいな人間やから「こんなディスコをやっちゃえ!」って思えたわけで。恥ずかしがったらダメやし常識の範囲の中でやってもダメ。何かを乗り越えていくための勢いは、常識の外にあるなあと思うね。

鈴木:本当にそうですね。また、ヒットは一発だけではダメなんですよね。モーニング娘。も『LOVEマシーン』の前に、色々な楽曲の“フリ”があって。その積み重ねがあったうえで、『LOVEマシーン』がドーン!と行ったわけですよね。そこに「後藤真希がすごい!」となり、その後さらに辻・加護のふたりが入ってきて『ハッピーサマーウェディング』でまたドーン!と行く。ああいう、積み重ねが必要なんですよ。

SMAPも5人になって最初の曲が『青いイナズマ』で。その後、『SHAKE』、『ダイナマイト』とヒットを連発した後、山崎まさよしさんの『セロリ』カバーという「シブい」ところを突いてきた。その次に『Peace!』という曲を挟み、『夜空ノムコウ』の大ヒットによって、彼らはアーティストになるんです。彼らはそこに至るまでの約2年間、カードの切り方が非常に上手かったんですね。

SMAPも、モーニング娘。も、カードの切り方が運も含めて上手くいったことで大スターになったと思うんです。今のBTSの大ヒットを見ていても、本当にカードの切り方が上手。そこがGENERATIONSもそうですし他のグループも、上手いカードを切り続けて曲を積み重ねていくことで、本当の大ヒットに繋がるんじゃないかと考えています。

日本の音楽界には“ド真ん中”を進む人材が必須

つんく♂:おさむちゃんはSMAP以降のJ-POPシーンをどう見ているの?K-POPも踏まえて。

鈴木:僕は一昨年から始まった『JUMP UP MELODIES TOP 20』というラジオ番組の中で、Spotifyで配信された曲の1週間の急上昇チャートTop20を紹介するようになって、そこから音楽を聴くようになったんです。ただ、今って、お笑いと同様に音楽にもたくさんの教科書があって、曲の種類や作り方をYouTubeで探せば、色々と出てくるんですよね。昔ならギターを買わなければ作れなかったものが、今では小学生ですら音楽制作に触れられる環境になって、簡単に曲が作れて、YOASOBIのコンポーザーのAyaseくんのようにもなれるんです。なので、曲の種類がめちゃくちゃ増えたなと思います。

もちろん僕もその中で好きな曲はありますが、では「ヒット曲とは?」となるわけです。僕はラッパーのAwichがすごく好きで、まさに彼女のように曲の良さに加えてアイコンとしても売れていかないといけないのかなと思いました。

つんく♂:米津玄師くんはわかりやすいけれど、それ以外に誰がいるのか?って。K-POP勢が活躍する中、J-POP勢はどうなの?となった時、明確な強いキャラがないんだよね。そうしたら今日のラジオで僕の前に出ていた子たち(LIL LEAGUE)は、若くて可愛いと思って、写真撮った(笑)。

鈴木:彼らは中学生、高校生のグループで、久々にワクワクさせてくれる存在ですよね。あの世代で何か地殻変動が起きてくれないかなあと、期待しているんですよ。

つんく♂:なんにも知らないで先に番組で流れてる曲だけを聴いてたから、メンバーを見て驚いたね。「うわっ!」と思った。こんなに若い子たちが歌ってたんだ〜!と、すごく未来を感じた。

鈴木:そうですよね。NiziUを最初に聴いた時も同じことを感じました。

つんく♂:うん、大人のテクニックを感じた。プロの技よね。

鈴木:そう感じました。ただ、世の中全体を引きずり込んでいかないとヒットにならないんですよね。

つんく♂:確かに。ももクロも一瞬、ガッと世の中を引っ張ったやん。モーニング娘。がいて、AKB48がいる。その路肩を、ももクロが、ダーッ!と走りぬけて行った感じがあった。今日見た彼ら(LIL LEAGUE)だけじゃなく、きっと各社色々と仕込んでいるはずやから、この2、3年でそういう子たちの登場が重なっていって、大きな爆発が起きるんじゃないかなと思ってる。

鈴木:そういう意味でAdoには、すごく可能性を感じています。Spotifyを始めとした配信を聴いていても、一時のヒットはあってもその後が続かないということがあるんです。その点、彼女は『うっせぇわ』の大ヒットがあった後も、『ドクターX~外科医・大門未知子~』の主題歌に起用されるなど、若者だけじゃなく、大人にも関係あるよというのを示せた。

若い子からすると「レコード会社に所属する意味なんかないじゃん」と思いがちですが、彼女は所属するユニバーサルの人たちが、今までの流れ以外の様々なプロデューサー陣を引っ張ってきて楽曲を制作しています。そうしたら今度Adoは『ONE PIECE FILM RED』で、歌のキャストとして参加して、主題歌も歌っている。こうした階段の昇り方を見ていると、「この子は久々に本当の特大ヒットを生み出せるんじゃないかな」と期待しています。

つんく♂:彼女が「顔出し」しないことに関してはどう思っている?

鈴木:そこがもったいないんですよねえ。顔出ししないのも良いのですが、僕は顔出しした方がスターになれる可能性が広がるはずだと思っちゃうんですよね。「そんなの関係ない!」と思う人もいるでしょうが、顔出しすればより世界が広がるかもしれない……まあ、その“わからなさ”が長持ちの秘訣になっているのかもしれませんが。

つんく♂:なんか山下達郎さんが、徹底してテレビに出なかったことに近いよね。

鈴木:そうですね。ただ、僕はGReeeeNの顔を見たいなと思っちゃうんですよ(笑)。見せないから良いという意見もありますが、ザ・ド真ん中人間の僕としては見せてほしいなあと思っちゃうんですよね。

つんく♂:男性グループに関して、おさむちゃんのラジオでも語ったけれど、自分で曲を作るアーティストと、ジャニーズ、LDHが三角の角っこを取りあって睨めっこしてたから、真ん中を埋めるアーティストがいなかったよね。そうしたら、いつの間にか真ん中をK-POPが埋めて(笑)。この先、日本人はどうするか?そこが課題だよね。

鈴木:そうなんです。ド真ん中を進んでくれる人……入り口はサブカルでもいいんです。ただ、大人の力を借りながらド真ん中を走れる人が、この世の中に現れてほしいなあと思うんです。

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