つんく♂ VS 寺嶋由芙 アイドルを続けることは結婚からの逃げ道なのか?
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つんく♂ VS 寺嶋由芙 アイドルを続けることは結婚からの逃げ道なのか?

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」、対談企画第8回目ゲストは、今年でソロデビュー8周年を迎えるアイドルの寺嶋由芙さん。30歳を迎えての結婚問題や、まさかの出馬表明!? 寺嶋さんのこの先の未来について徹底討論。初挑戦した歌詞への徹底指導も併せて“マジメ”な寺嶋さんの素顔を一皮も二皮もめくっちゃいます。前編はこちら。
(文 田口俊輔 / 編集 小沢あや

「完璧ばかりを求め過ぎている」寺嶋の悩みにつんく♂苦言


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つんく♂:立派な大学も出て、ソロアイドルとして8年の実績もあって、充実した生活を送っているわけやん。とはいえ30歳を迎えるにあたって、「どこまでこの活動を続けるのか?」と考えたりはする?

寺嶋:今まさに「どうしよう?」と考えています。そのどうしようは、続けるか続けないか?の悩みではなく、「続けるために何をすべきか?」を考えています。

つんく♂:「アイドルを続けない」という選択肢はないんやね。

寺嶋:はい。そもそも他にできることがあるとは思えない(笑)。それに私がやりたいことは、アイドルをしながら全部できる気がしていて。ゆるキャラや、サンリオさんとのお仕事は、「キャラ好きのアイドル」だからこそ、お仕事がもらえている状態で。それに大学在籍中に国語の教員免許は取っていて。

つんく♂:偉い! 俺、最後実習に行く時間がなくて、教職免許取れなかったの。活動しながら実習に行ったんでしょ、偉いなぁ。

寺嶋:いえいえ(照笑)。なので、免許を活かした勉強のお仕事も、きっとアイドルをやりながらできると思っていて。個人的には、アイドルを名乗りながら、やれることを増やしていける人になりたいんです。ただ、その増やしたい選択肢の中に「結婚」を入れるべきか?を、考えている状況です。

つんく♂:俺ね、このnoteの対談で譜久村(聖)に言ったんやけど、今この時代「結婚してもアイドルです」と名乗っていいの。「プロアイドル」として子どもに悪影響を及ぼさない限り、ファンは許してくれると思うねん。今のうちから「結婚してもアイドルやめません!」と言っといた方がこれからのアイドルとしてカッチョイイ! と、俺は思うんだよね。

寺嶋:う~ん……(腕を組み悩む)。最近はNegiccoさんのように結婚しても活動する方が増えてはきました。けど、Negiccoさんグループですよね。私の場合、結婚すると寺嶋由芙=既婚者100%になるんですよ。その“既婚者であるアイドルの私”の姿を描けないからなのかも。

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つんく♂:アハハ! なるほどね。ゆっふぃーのこれからとしては、二つ形があると思って。一つは、ゆっふぃーが一人である必要はないの。
寺嶋:???……あぁ!! “私以外の寺嶋由芙”を増やすということですね(笑)。

つんく♂:そうそう! 寺嶋由芙2号・3号を作るの。例えばゆっふぃーが結婚して産休している間に、代わりに2号が活動を引き継げば、寺嶋由芙の活動は続くわけやん。

寺嶋:あはは! それは斬新で、ステキですね。

つんく♂:例えばLDH社長のHIROさんは、以前ダンサーとしてZOOにいたんやけど、その後EXILEを作り、自分もプレイヤーとして在籍しながら、どんどん若いメンバーを育てていったわけやん。活動を続けながら、忙しくなったらスッとその子らに頼めるようなシステムを作ってもいいと思うんだよね。もしくは、新しいアイドルグループを作っちゃうとかどう?

寺嶋:……私が、作る?

つんく♂:そうそう。「プロアイドル・寺嶋組」を作ってみる。「寺嶋由芙の五カ条」みたいなのを作って、「アイドルとしてこうあるべき!」という姿を叩きこむスパルタアイドルとかどう? 面白そうじゃない?

寺嶋:面白いですね。私、普段から「品行方正に生きよう!」と強く心がけているわけではないのですが、自分の中にある“マジメさ”からはみ出たものを見ると、心がザワザワしちゃう人間でして。

つんく♂:その気持ち、わかるわぁ~。

寺嶋:例えば、アイドルさんの「こんなこと書いて大丈夫?」みたいな呟きをSNSで見た時はすごくザワザワしたり、年下のスタッフさんが仕事先の方に対して失礼があった時も、すごくザワザワしちゃって(苦笑)。ビシビシ教えるのは合っているのかもしれません。

つんく♂:ええやん! 厳しくいこうや。

寺嶋:ただ一方で、こういう姿勢はよくないなとも考えていて。自分も決して完璧ではないのに、人に完璧ばかりを求め過ぎている節がありまして。ただ心をザワザワさせるだけでなく、人を赦して良い方向へと導いていく方が一番いいと思うんですよ。ただ今は“自分の中のマジメさ”を護ることに必死になってしまっていて……。人と何かをするのが根本から合っていないんじゃないか?と悩む日々です。

つんく♂:うんうん。俺もシャ乱Qをやっていた時に、成り行きでモーニング娘。が始まって。最初はプロデュースも何もわからない、チャランポランのあんちゃんやったから、彼女たちが思い通りに動かないと「何でこんなこともできへんねん!」と、イライラばかりが募ってね。

寺嶋:優しいつんく♂さんでも、そんな風になっていたんですね。

つんく♂:うん。ただ、結果としてその後ちゃんと10代の女の子たちを導けたのは、自分に返ってくるなって思ったから。イラっとくるのは「自分がやった方が早いわ!」って思うからなんよね。でも、実際歌うのは本人達。それは変えられない。だったらそれをどうするのがよいのかを考えた。

寺嶋:(頷く)

つんく♂:俺にも出来ない時があったはず。でも、今は出来ている。そこに気がついてからは、「そっか、この子たちにはこの方が簡単だな」とか「俺はこれをマスターするのに2年かかったけど、この子らにはその経験はショートカットさせて結論だけ教えておこ」みたいに考え方を変えたんよね。「俺はなぜ自分が遠回りしたか」とか「俺はなぜこれが今出来ているのか」ということを頭の中で振り返るようになったわけ。

寺嶋:(頷く)

つんく♂:俺の場合はアマチュア時代にめちゃくちゃライブ経験を積んだので、実践で体に叩き込んだものもたくさんあるんよ。「盛り上がる曲順は?!」「アウェイでの勝てるMC方」「レコーディングの心得」「楽屋でやっておくこと」とかね。知らない間に会得してたけど、教えるには、すべてを言語化して伝えなきゃいけない。から惜しげもなく、自分が2年かけて学んだことをある種30分で教える感覚でメソッド化していったの。それを考えることで、自分がさらに学んで成長していくんよね。教えるというのは奥が深いね。

寺嶋:ですよね。私が先頭に立ってみんなを引っ張っていこう!という意識は全然ないのですが、自分より後にアイドルになった子たちのために、アイドルを楽しく続けられるような環境を整えていく人になりたいなとは思っていて。そう考えると、そういう経験は絶対に必要ですよね。

アイドルが今以上に有名になる方法

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つんく♂:今語ったように、自分の苦労した経験を活かし後輩のための道を作りたいならば、アイドルとしてではなく政治家になるのも手かなと。

寺嶋:実は、色んな方から「出馬したら?」という話をいただいています(笑)。

つんく♂:それはスゴイ! 人の声を聞いてそれを形にするのって、筋が通っていないとできないんよね。もっと鍛えていけば、その道が開けてくるんやないかな?

寺嶋:いよいよ、本格的に出馬するべきかな(笑)。私よく考えるんです。「30歳なのにアイドルやっているの?」と言われるのは、女性はある程度の年齢になったら結婚して家庭に入るべきという思想や、女の人が長く働けるシステムが整えられていないことの一種の表れじゃないか?って。アイドルだけが「何歳でもやっていいじゃん!」と言っても、たぶん説得力がないんです。

つんく♂:そうやね。

寺嶋:アイドルだけでなく、世の中全体で女性の役職が上がるとか、長く仕事を続けられる環境が整うとか、待遇が根底から良くないと、アイドルまで良くならないと思うんで。なので、アイドルのことを考えてそれを実践するためには、アイドルの分野だけを見ていたらダメだと毎日思っています。

つんく♂:うん。今の状態が続くと、お給料ゼロ円アイドルがいっぱいになるかもね。それでも成立してればいいけど、成り手がいなくなったら応援も出来なくなるし、すると市場が消える。それだと未来が暗くなるもんね。それじゃ嫌でしょ?

寺嶋:ですよね。私がグループにいたころは、「プロモーションも過激でヒドイ運営だから待遇が良くないんだ!」と思っていたんですね。それが清純派アイドルの子たちの話を聞くと、彼女たちも未払いや辛い経験をしていて。結果的に、多くのアイドルさんが苦しんでいる姿を目の当たりするわけです。私はその業界の間違いを正していって、これからのアイドルちゃんたちが悩まないために、何かしたい思いがあります。

つんく♂:えらい! ただまあ、俺はつばさの皆さんと仲良いからフォローするわけじゃないけど、アイドル界隈見回して、つばさは至って普通というかちゃんとしてる方やと思う。たしかに表向き清い系の地下、半地下アイドルは結構処遇に対してえぐいところあるのかもね。たしかに、ゆっふぃーのそうした想いを叶えるには、もう一段階有名にならないと、社会全体には届かないよね。今アイドルはサブカルチャーの中にいるから、ある一定の大人たちが面白がって取り上げてくれるけれど、そのもう一つ上にいかないと一般の子どもたちの下まで降りてこない。

寺嶋:そうなんですよね。自分のやりたいことに、自分の実績が追いついていないというか。しかも完全に自分のテリトリーだけで物事を見てしまっているので、井の中の蛙状態なんで。

つんく♂:メッチャ自分に厳しいなあ。

寺嶋:いえいえ。私がやってきた8年間を知っているのは、ほんの半径数メートルにいる人だけなので、その円を広げていかないと、これまでやってきたことがちゃんと残らなくなりますし。私の声を届けやすい場所にいたいという夢がありまして。その夢を実現させるために、これからどうしていくべきか?と悩んでいます。

つんく♂:……難しいね。その円をすぐに広げる方法が一つある。ビッグネームと結婚する!

寺嶋:あぁ~! ぜひ紹介してくださ~い! ぜひよろしくお願いいたします(笑)!

つんく♂「歌詞の詰め込み過ぎはアカン。“普通”になる」

寺嶋:今日、相談がありまして。今度の新作『サバイバル・レディ』で初めて作詞に挑戦したのですが、どうも「私はこう思っています!」という想いを、歌詞っぽく装飾することしかできず、まるでスピーチ文のような歌詞ができあがってしまって。トミヤマユキコ先生に整えていただいて、やっとキレイな歌詞にしていただいたということがありまして。 

寺嶋:つんく♂さんは“思春期の少女の気持ち・人生”という、自分が経験していないことを歌詞にされています。自分の経験外から出た言葉でありながら、聞いた人が「これ、私のことだ!」と思わせる力を持った歌詞は、どのように書いていらっしゃるのですか?

つんく♂:その考えすぎた歌詞? スピーチみたいなやつ、事前に読ませてもらったよ。すごく面白いよ。うん面白い。ゆっふぃーの部屋に監視カメラつけてのぞいた感じの歌詞で面白い。

寺嶋:うれしいです。

つんく♂:ただ、歌を歌う歌詞にすると思うと、頭に閃いたことの羅列状態。詰め込み過ぎてるというか、とっちらかってる感はあるね。けど、人間の頭の中なんてこんなもので、これ自体は自然でとても良いよ。プロのテクニックでちょちょっと魔法をかければ、作品になるとは思うよ。例えば、冒頭の「また石橋叩きすぎちゃった/誰も怪我しなくてよかった」という言葉、これはサビで使おうとしたの?

寺嶋:いえ、Aメロに使おうと思って書いたんですよ。

つんく♂:そうなんや! このフレーズ、俺から見たらサビやなあ。というか、ゆっふぃーが一番歌詞の中で伝えたいメッセージに見えた。「また石橋叩きすぎちゃった」って、これはかなり多くの人が生活している中でメッチャ思っていることで、すごく共感できると思うの。この一フレーズを、恋愛話の歌詞に発展させるとしたらどうする?

寺嶋:(腕を組んで)……考えすぎるあまり、想いを伝えらず、勝手に自滅していく。

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つんく♂:正解! 素晴らしい! もうそれだけでキュンキュンくるやん。俺ならこの1フレーズをメインに歌詞をしあげちゃう。で、Aメロに「気になる人とどこそこで会った」と書いて、そこからBメロで「今日告白しようかな」とか「明日かな? いや、一週間後かな? いやいや、まだ早いかな……」とドンドン気持ちを深堀していき、最後にサビで「また石橋叩きすぎちゃった」と結局告白できなかった感じの言葉にする。そう書くことで、直接的な言葉を使わなくてもメッチャ切なくなる。聴いている側は「早く行けよ~!」となるの。

寺嶋:はぁ~、なるほど(深く頷く)。

つんく♂:つまり、このフレーズだけで1曲できちゃう。

寺嶋:……本当だ!

つんく♂:伝えたいことはわかるの。ただそれを詰め込み過ぎ、書きすぎると、逆に“無”になる。歌詞にするなら一つの気持ちをシュッと一箇所にまとめて、言いたいことはなるたけ言い過ぎない方がいい。もしそれでも言いたいことを全て書きたいなら小説にした方がええよ。

寺嶋:詰め込み過ぎは、ダメなんですね!

つんく♂:うん。この歌詞は、良いフレーズがたくさんあるから、その一つひとつをシッカリ拾って伸ばしてあげる方がええ。俺なら、この最初の歌詞(スピーチ)一つあれば、1枚アルバムが作れちゃう(笑)。

寺嶋:アルバム(笑)! それだけ素材が多すぎたんですね。

「アイドル活動を結婚の逃げ道にしていない?」

つんく♂:もう一つ気になるフレーズがあって。「自分専用 このお財布を またなぜかしら後ろめたくて」という歌詞は、どんな想いで書いたの?

寺嶋:今私は自分でやりたいことをやって、もらったお金を全部自分のために使っていて。ただ同世代の子の中にはすでに家族を持っている子もいて、家族のため、子どものためと、お金を“背負う者”のために使っている。そうした現実を見ると、好きなように生きていることへの負い目、と言いますか……私、アイドルをやっていなくても結婚できていたのかな?という気持ちがこみあげて、この一文を書いたんですよ。

つんく♂:……ひとつツッコんでいい? イヤやったら答えなくてええんやけど、アイドルを続けることを結婚からの逃げ道にしていないか?

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総合エンターテインメントプロデューサー / TNX株式会社代表取締役社長。1992年、ロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビュー。音楽家として作詞・作曲と、「モーニング娘。」をはじめとした数多くのアーティストプロデュースを手がける。