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「芸能界に入って、私変わりました」 つんく♂×関水渚×森香澄座談会

noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」。今回は関水渚さんと森香澄さんとの座談会です。ドラマ『伝説の頭 翔』(テレビ朝日)でつんく♂が楽曲提供したご当地アイドルユニット「古くさい街角のスケ番ズ(以下、街スケ)」を2人が演じています。

後編では、関水さんと森さんのお仕事に関する話題から、彼女たちの子ども時代まで話が大きく膨らみました。「関水さんが森さんに送る長文の相談LINEって?」「森さんがあざといキャラを得たのはいつ?」テレビで活躍する2人の素顔を、つんく♂が掘り下げます。楽曲制作やドラマについて語った「前編」はこちらから。
<構成 結井ゆき江 / 編集 小沢あや(ピース) /撮影 YOSHIHITO KOBA>(取材協力 note place

つんく♂「2人はこれから何を目指すの?」

つんく♂:ドラマのオンエアが始まる頃に、『あざとい』キャラクターの森さんについて、雑誌からインタビューの依頼があって。でも、その時はまだ設定がよくわかっていなくて。その後に、テレビプロデューサーの佐久間宣行さんとYouTubeで対談しているのを観て「へ〜、そういう意味のあざといなんだ〜」ってわかった。そこから「今後はどっち側にいくんやろな」って気になってはいました。もうすぐ30歳を迎えるようですが、現状や今後についてどう考えているの?

森:フリーになって2年弱で、お芝居やバラエティー番組出演の機会をいただきました。正直、こんなにバラエティー番組のオファーをいただけると思っていなくて、驚いてます。でも、今回『バッキャロー!LOVE』を歌って踊って「やっぱり歌をやりたいな」って改めて思いました。実は私、もともとミュージカルもやってみたいと思っていて。だから、そっちにも挑戦したいと思っています。

つんく♂:あら、ミュージカルの方向へいくんだ。でもそうすると稽古とか本番でスケジュールが結構埋まるよ。ある種、コスパが悪くなるというか。

森:そうですね。いただいたバラエティー番組のオファーを断ることも発生してくるので、タイミングを見て挑戦したいですね。でも、今は歌をやりたいなって思っています。

つんく♂:でも確かに、行くなら今やね。

森:そうなんですよ。お声がけがあれば絶対挑戦したいと思っています。

つんく♂:「バラエティー番組に元局アナが出演する」というのはギャップが面白いから、ウケるけど。そういう意味でアドバンテージがあった森さんが真剣に「ミュージカルをやります」って言ったらどんな役なら業界や世間の目を惹くんやろうね。たとえば、ヒロインの隣にいるかわいい友達役なのか、根性の悪いいじめ役なのか。

森:いい子ちゃんよりは悪女をやりたいですね。

つんく♂:ハマりそうやもんな。でもハマる路線が正解かどうかはわからんからね。普通になっちゃうかもしれないし。

森:想像の範疇を越えないってことですよね。

つんく♂:そうかもね。ある程度、本流というか、あんまり変化球ではないキャストをやってからの判断にはなるだろうね。3枚目役とか悪役とかね。でもミュージカルを本当にやりたいなら、時代や業界は超ウェルカムやと思うで。

森:ミュージカルの業界の方とお話することもあるんですけど、人がたくさん必要なわけでもないし、若い人や本格的にミュージカルを目指してきた人がいるから、どうでしょうね。

つんく♂:演技をしたい人はたくさんいるだろうけど、ある程度知名度のある人は限られてるだろうから貴重な存在にはなると思う。ちなみに「歌を歌います!」って3,000円のチケットを販売したら、どれくらい人が来ると思う?

森:100人くらい集まればいいかな、と思います。

つんく♂:それだけ人を集められたら十分だよ。楽しみです。そして、関水さんは女優としてここまで来たけど、この先はどういうことがしたいの?

関水:このままお芝居を続けたいです。ストレートプレイ(歌唱がなく、セリフや演技のみで行う舞台)をやってみたくて。でも事務所から「今すぐでなくても、将来できたらいいね」とアドバイスをいただいて、まずは映像作品を中心に出演を重ねて、視聴者の方に名前と顔を覚えてもらおうと思っています。最近、映像のお仕事が本当に楽しくて。

つんく♂:映像の仕事って、テレビとかNetflixとか、そういうのをまとめたことを今は「映像の仕事」って呼ぶのかな?

関水:そうですね。ドラマや映画です。舞台は同じシーンを何十回も練習するから、それを好きになれないと難しいらしいんです。でも映像は一発勝負。リハーサルはあるけど取り返しがつかないから、「もっとこうしたかった」と後悔があっても、「もっと頑張ろう」と前向きになるしかない。そういうところが面白いです。この先もお仕事をいただけるかはわからないけど、いただける限りは尽力したいです。

子ども時代は静かだった関水渚と、やんちゃな森香澄

つんく♂:関水さんは芸能界に入るまで、どんな子だったの?

関水:親からしてみたら、育てにくい子だったと思います。3~4歳の頃に恥ずかしい気持ちが芽生えてきて、幼稚園の体験会も大人数に混ざるのが怖かった。だから遅めなんですけど、5歳の年長から入園しました。幼稚園バスに乗る時に、「おはようございます」って挨拶するのさえ、プレッシャーでしたね。

つんく♂:人見知りだったの?

関水:自意識過剰なところもあって「変に思われたらどうしよう」というプレッシャーがありました。その後は中高一貫校に進学したんですが、卒業後、当時の学校の先生から「笑うようになったね」って言われたんです。友達の前では笑っていたけど、それ以外では笑う場面も少なかったみたい。

つんく♂:じゃあ、芸能界に入って変わったんだ?

関水:そうですね。芸能界っていろんな人がいるじゃないですか。「おかしい」とか「変だ」って言われない世界で、みんなが優しくて。そういう世界を知ったら、「ありのままの自分でいいんだな」と思えました。そこから普通に喋れるし、笑えるようになったんです。

つんく♂:小さい頃は、男子が苦手で壁を作ってたとかじゃなくて?

関水:それもあるかもしれないですね。私は横浜出身なんですけど、小学生の頃はやんちゃな男の子が多くて。だから当時は目立たないようにしていましたね。中高一貫の共学に進学したんですけど、そこはお坊ちゃまっぽい優しい子ばかりでした。そこから私も落ち着いてきた感じです。

つんく♂:異性を意識したことはないの? 「あの子、かっこいいな」とか。

関水:ありますよ!(笑)。中学に入学してからは大人っぽい男の子を好きになって、2回告白しました。振られちゃいましたけど。

つんく♂:度胸あるやん。

関水:変なところで度胸があるんですよね。親は混乱して大変だったんじゃないかな。

つんく♂:森さんは小さい頃からあざとかったの?

森:小さい頃はやんちゃでしたね。外で遊びまわって、男の子と取っ組み合いの喧嘩をするような子で。あまりに落ち着きがないから両親が心配して、ピアノと空手を始めたんです。ピアノは私が音楽を好きそうだから、空手は正座をして精神統一するから。でも、極真空手ってヘッドガードをつけてスパーリングするんですよ。年上の男の子にもこぶしを向けるから、もっとやんちゃになっちゃって(笑)。

つんく♂:(笑)。

森:中高時代は文化祭とか合唱コンクールをすごく仕切るタイプに成長して、「私が金賞をみんなに届ける」って感じでしたね。

つんく♂:それでも共学なら、目立つ分、モテたんじゃない?

森:真剣すぎて、やる気のない男の子たちを叱るので、怖かったみたいです。あざといとか、1ミリもなかったですね。

つんく♂:「うるさいあいつが来たぞ」みたいなキャラだ。

森:そうそう。嫌がられるタイプです。でも合唱コンクールとかで金賞が取れると、その日だけ感謝される(笑)。高校は全クラスでミュージカルをやる学校だったので、台本を自分たちで作ったりするのに熱中して、勉強はそこそこでしたね。

つんく♂:じゃあ、モテ期はいつ?

森:なかなか……。中学生の頃にバスケ部のエースに告白したけど、玉砕しました。初恋は実らなかったです。

つんく♂:時代なのかな〜。2人とも自分から告白してすごいね。

森:ドラマ『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』の影響でバスケ部が校内でモテたんですよ。でもレギュラーって5人くらいしかいないから、人気が集中しちゃって。告白しても相手にされなかったですね。私自身がモテ始めたのは大学生からです。女子大だったんですけど。

つんく♂:なるほどね。インカレ的な。違う大学の学生からモテたんやね。そっから人生変わったんちゃう?

森:びっくりしましたね。「女子大」っていうだけでチヤホヤされて。メイクとか外見を意識するようになったのもその頃です。そこから今の「あざとい」につながるキャラクターができていきました。でも女子大にいる時は、あざとくないんですよ。

つんく♂:だからあざといって言われるんだよ(笑)。ずっとあざといんだったら、その子の性質と認めてもらえるのに。他の女子たちからしたら、「男の前だけキャラを変えやがって」って思われてたんじゃないかな。

森:そうか。だからあざといのか。

つんく♂:そのあざといスイッチが切れたら、疲れるの?

森:そんなことないですよ。もともとすごくポジティブな性格なので、あざとさも「裏表」という感じではないんです。女子と集まっている時も、ふざけて「あざとい」キャラの時も、本気で男の子を狙っている時も、全部オンなので辛くない。もしかしたら、全部素なのかもしれないですね。

つんく♂:じゃあ、安定しているんだ。

森:メンタルはばっちり、安定してますね。

関水渚は長文LINEを送るタイプ!?

つんく♂:関水さんはオンオフで疲れたりする?

関水:私は落ち込みやすくて、すぐ香澄ちゃんにLINEで相談しちゃうんです。全く関係のないことでも、長文で。

森:本当に、すごく長いんですよ。

つんく♂:長文で送ってくる子っているよね。「悩んでいるんやな。心配だな」って思いつつも、「頑張って」の一言では済ませられない感じの文章。なので、後でじっくり返さなきゃと思う。で、考えているうちに一週間くらい経って「あ、返信してないやん、きっと相手は無視されたと感じてるやろな……」って思う時あるわ。しかも長文のLINEって、「この部分はイエスだけど、こっちはノーやな」とかあるからレスもしにくいやん。

森:本当にそうなんです。箇条書きで返事をしたくなるくらい長文なんですよ。

関水:でも、香澄ちゃんはすごい速さで的確な答えを返してくれるし納得できるんです。だから私もお悩み相談センターみたいに送っちゃって。今回、小さい頃の話を聞いて納得しました。昔から公私ともに頼りになる存在だったんですね。

つんく♂:自分に責任が来ないようにダラダラやる人もいるやん? 「任せる〜」とか「どっちでもいいよ〜」みたいな場合も多いしね。森さんはそういう時に「はい! では私が」って率先して手を挙げるタイプ?

森:そうですね。空気を読みあって「どうする? どうする?」ってなる時間が苦手で、「とりあえずやろうよ!」って仕切っちゃうんです。

関水:お店も決めてくれるし、道も教えてくれる。「一家に1人、森香澄」ってくらい、必要な存在です。

つんく♂:僕もどちらかと言えば、森さんのタイプやったわ。学生時代もアマチュアバンドの時代も。最近では、ごはん屋さんを探す時って、「おいしいお店を検索するから待ってて」とか言われるけど、今から探しても混んでるかもしれないし、定休日かもしれないし、だったら、その辺の店にさっさと入っちゃおうよって思うタイプだったな。でも年を取ると、優柔不断になることが増えてくる。

森:そうなんですか? 気を遣う場面が増えるとか?

つんく♂:いや、そういういう意味より、自分の残りの人生で、あと何回おいしいご飯が食べられるかわからへんやん? すると一回にかける醍醐味が変わってきて、外せないから慎重になるんよ。映画を観るにしても2時間半とか取られるわけでしょ? だからどれを観るかをすごく考えるようになる。考えすぎて観られないくらい。レビューもいろんなサイトを読んで確認して「大丈夫かな」って何度も考えちゃう。

森:レビューを読む時間で、映画を1本観られるじゃないですか(笑)。

つんく♂:せやねん(笑)。で、もうええかってなる。

つんく♂が原石を探す時に見るポイント

つんく♂:ではつんく♂への質問タイムに行ってみましょう。

森:アイドルやタレントさんの原石を探す時って、最初にどこを見るんですか?

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