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「つんく♂チーム」はこうして生まれた もうひとつの『上・京・物・語』
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「つんく♂チーム」はこうして生まれた もうひとつの『上・京・物・語』

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noteマガジン「つんく♂の超プロデューサー視点!」、今回の対談ゲストは、Voicy社長の緒方憲太郎さんです。後編では、時代の変化の中で何が変わり、変わっていないのか、その中でどのようにマネタイズしていくべきか、議論を交わします。また、つんく♂が30年間どのように制作チームを作り、スタッフを引っ張ってきたのか、「つんく♂流・組織論」も明かされることに。対談前編はこちら
<文 山田宗太朗 / 編集 小沢あや(ピース株式会社)

 時代の変化の中で、音楽家はどうマネタイズしていくべきか

緒方:つんく♂さんって、すごく愛されてるように見えます。

つんく♂:どうなんやろ。まあ、慎重ではあるし、そのおかげで大失敗もギリギリなかったんやけど(笑)。緒方社長とは、なんか久々に面白いというか、話してみたいなと思って。「しゃべられへん僕とVoicyの社長が、一体何をできるか?」という。

僕はしゃべれないから、YouTubeに乗っかれなくて。noteは始めてみたけども、これは情報を見せるひとつの手段でしかないし。今は、「テレビに出ていた人間がこの壁にぶつかって、これからどこに向かっていくんだろう?」みたいな時期なわけ。

CDというパッケージがなくなり、テレビの視聴率に以前ほどの価値がなくなった時代に、僕たち音楽家が何にマネタイズしていくのか。YouTuberと芸能人の違いはどこにあるのか。ちょうどその間にいて、どっちとも仲が良い人がどう見ているのか。

たとえば、宮迫と西野と中田あっちゃんが仲良くなるのは、こっちの世界としてはよくわかるわけ。特に今は、テレビ側の人間がどうしても混じれないから。そこの壁は今もまだあるよね。2年後にはもしかしたらなくなっているかもしれないけど。

緒方:時代の変化で何が変わっているのかを考える必要がありますよね。たとえば会社なら、AIが進んでいろんなツールができたので、顧客管理も収益管理もツールでできてしまう。ほとんど人がいらなくなっている。すると、機械ではできない「人らしい仕事」をできる人しか企業は採用しなくなる。企業が人材に求めるベースがめちゃくちゃ上がっているんです。

一方、コンテンツも、人間が得られるコンテンツのプールがあるとしたら、もうじゃぶじゃぶに情報が溢れている。昔はそこからキュレーションして良いものを見せることができていたけれど、今はそれ以上に情報が溢れていて、過去のアーカイブだけでも一生笑って過ごせるくらい情報がある。そういう状況でどんな新しい情報を受け取るのか。あまりにも情報が溢れているから、受け手側で咀嚼して初めて良さがわかる、みたいなレベルではなくなってきているんですね。

最近、若い子にヒアリングをして衝撃を受けたんですけど、今はマンガを読まずにアニメだけ見る子が増えているみたいなんです。その子は「マンガって、読んでる最中、他のことできなくないですか? だから嫌なんです」って言うんですよ。没入させる映画も嫌。アニメは、見ながら他のことができるから良いと。

今話題のものをひととおりチェックするだけでOKで、そんなに深くものを体験したくないんですね。Netflixも2倍速で見ている若い子がめちゃくちゃ多いし、どんどんライトコンテンツの方に行っていて。ゲームも自分でやるのではなく、ゲーム実況を見るだけになっていますよね。

つんく♂:うちの娘も、人がやってるゲームを何時間も見てんのよね。あれはまったくわかれへん。息子もマンガは全然読めない。そういう集中力がない。「もうすぐテレビでやるじゃん」って言うのよね。

緒方:とにかく自分は成長しなくて良い、努力しなくて良い、あまり経験しなくても楽しめるコンテンツレベルで良い、そんなふうになっていますね。たとえばクラシックミュージックや歌舞伎というのは、視聴者の方が努力をして初めて良さがわかるものだったけれど、今はどんどん視聴者がラクに楽しめる方向にシフトしているので、クリエイターが良いものを作ることとは全然違う方に走っているんですね。

「何者かにならなきゃ」と「何をやっても無駄」の間で、誰が救いになるのか

つんく♂:それはでも、しゃあないわけやん?

緒方:しゃあないです。もう、流れです。

つんく♂:で、どうすればいい? 見過ごすしかないの?

緒方:実は、ひとつだけ時代に逆行しているものがあるんです。それは「宗教感が増している」ということ。これまで、タレントは消費財でした。見て楽しむものだったんです。タレントを見て楽しみ、ファッションや髪型を真似する。タレントが「お前らこうしろ」と言ったところで「はい!」とはならなかった。それが変わってきた。その人の生き方に共感して、その人のように生きたくなってきた。だから、めちゃくちゃきれいなモデルさんがめっちゃカッコ良くしてても、インスタはフォローするけれど、その人を自分とリンクすることはできないんですね。

緒方:今は、努力はしたくないのに主役になりたい世界なんです。子どもたちは「何者かになりたい」と言う。「何になりたいの?」と聞くと「わかんないけど、何者かになりたいんです」と答える。何になりたいかわからないから、とりあえずインフルエンサーっぽくなろうとする。実際にある日突然クラスメイトがインフルエンサーになったりもする。

その一方で、みんな自己肯定感が低いんです。なぜなら「あんたクラスで一番可愛いかもしれないけど、インスタの〇〇ちゃんの方がかわいいからね」とか「お前自分のこと面白いと思ってるかもしれないけど、Twitterの〇〇さんの方が面白いから」みたいな、世界選手権になっているからです。


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総合エンターテインメントプロデューサー / TNX株式会社代表取締役社長。1992年、ロックバンド・シャ乱Qのボーカリストとしてデビュー。音楽家として作詞・作曲と、「モーニング娘。」をはじめとした数多くのアーティストプロデュースを手がける。