「つんく♂に問う!今、大学生がすべきこと緊急ミーティング」現役大学生×つんく♂座談会
つんく♂から大学生に質問「1日の中でいちばん大切な時間は?」
つんく♂:よろしくお願いします!
学生:よろしくお願いします!
──まずは、みなさんの自己紹介からお願いします。
山下:アカペラサークルに所属しています、文芸学部文化歴史学科2回生の山下颯太(やましたそうた)と申します。入学式では校歌斉唱のアカペラを担当させていただきます。出身は富山南高校です。
山口:はじめまして。今年度、近畿大学応援部団長の、山口健太郎(やまぐち けんたろう)と申します。経営学部経営学科3回生です。出身高校は滝川高校です。
堀:チアリーダー部、部長の堀ルビィ(ほり るびぃ)と申します。経営学部経営学科3回生です。出身高校は、大阪産業大学附属高等学校です。
中西:吹奏楽部部長の中西舞衣(なかにし まい)です。文芸学部文化デザイン学科3回生で、西宮市立西宮東高等学校出身です。
栗林:学友会連合会で代表をつとめております、栗林寿樹(くりばやしかずき)です。経営学部経営学科3回生で、出身は私立西大和学園高等学校です。
──まずは、つんく♂さんから学生さんへの質問をどうぞ!
つんく♂:1つ目に聞きたかったのが、1日24時間の中で、何をいちばん重要(大切)な時間としていますか?
山下:自分がいちばん大事にしているのは、友だちと一緒にいる時間かなと思います。
大学生になって、かけがえのない友だちを作りたいと思ってこの大学に入りました。一人暮らしをしていて、寂しいときも一緒に過ごしてくれる友だちには恵まれていると思います。そういう友だちへの感謝の気持ちを忘れずに、かけがえのない時間を作っていきたいです。
つんく♂:それはリアルに会う時間ということかな? SNSでのつながりですか?
山下:僕の場合は「リアルに会う時間」が大事です。アカペラサークルの代表をしているので、やりとりなどSNSを頻繁に使っていて、それも大切な時間です。ですが、リアルに会う時間のほうが「思い出を作りたい」という意識で一緒に過ごしています。
つんく♂:いいね〜!
山口:僕が1日の中で一番大事にしている時間は、部活が終わって、同期や後輩たちと帰る時間です。練習が週に2〜3回なので、一緒に帰る機会も限られています。もうあと1年で部活生活が終わってしまうので、その時間は大切だなと感じます。
つんく♂:ちなみに、なんで応援部に入部したの?
山口:応援部に入っていた友だちから「見学に来ないか」と誘われて、面白そうだなと思って入部しました。
つんく♂:大学に入学したときに、応援部に入る想像はしてた?
山口:ぜんぜんしていなかったです。そもそも、応援部という存在すら知らなかったので、誘われて興味がわきました。
つんく♂:そんな、誘われて入った人が団長になるってどういう流れ? 先輩の推薦かな?
山口:同期が推薦してくれたこともあるんですけど、自分から「なりたい」と言いました。
自分は応援部に入部したのが遅くて、同期よりも1年くらい遅れをとっていたんです。入ってからの時間は、ほぼすべて応援部に注げるだけ注いで、頑張ってきたので、応援部の楽しさをもっと多くの人に知ってもらいたいと思って立候補しました。
つんく♂:青春やね、素敵です!
山口:ありがとうございます。
堀:私は、家で家族と過ごす時間かなと思っています。私自身、部活やアルバイトで家に居られる時間が少なくて、家にいるときに家族と話す時間が大切だなと感じるようになりました。
つんく♂:反抗期はあった?
堀:反抗期はあまりなくて、やりたいことをやらせてもらえていたので満足していたというか、家族は割と仲がいいと思います。
つんく♂:家族との時間を大切にしたいということですが、親からの小言がうるさいなって感じて、つい自分の部屋にこもってしまったりしない?
堀:それは結構あります(笑)。
つんく♂:(笑)。
堀:父は小さいことを言ってくるタイプなんです。父がネパール人で、日本とは少し違って、割と細かいことをきちんとするので、それでちょっと部屋にこもることはあります。
つんく♂:家族の時間を大切にしたいと思いつつ、実際は親に冷たくあたっている面もあるんだね。
堀:そうですね、うまくいかないです(笑)。
つんく♂:話してくれてありがとう。我が子たちもすぐ部屋に行くので、情景が浮かびます。笑
中西:私も家族との時間と、30分でも自分の好きなことをする時間を取ろうと思っています。吹奏楽部はほぼ週7で活動があって、加えて就職活動、アルバイト、授業があるとゆっくりする時間がないので、そういう時間を大切にしたいと思っています。
つんく♂:30分の自分の時間って、たとえばなにをするの?
中西:そうですね。好きなテレビ番組をみたり、YouTubeや動画をみたりしています。
つんく♂:30分で足りる?
中西:それをする時間もない日があるので、そういう時間があると嬉しいなって思います。
つんく♂:ゆっくりするより、寝る方をとってしまうのかな?
中西:そうですね(笑)。
栗林:僕はお風呂やサウナに行って自分ひとりで過ごす時間と、その後に読書をする時間も好きです。
つんく♂:サウナに通っているの?
栗林:通っているというほどでもないんですが、大学の近くにあるサウナによく行きます。
つんく♂:1回いくらなの?
栗林:学生料金で400円なので行きやすいんです。
つんく♂:リーズナブルやね。運動するよりサウナが好き?
栗林:運動も好きなんですけど、サウナに入ると運動したくらい汗をかくので、コスパがいいなと思って(笑)。しかも、運動より気持ちよく汗をかけるので。
つんく♂:おっさんの発想やな(笑)。
近大に入ってよかったことは「多趣味で変な人たちに影響されて、好きなことが見つかったこと」
つんく♂:次の質問やけど、近大に入ってよかったと思うことは?
山下:僕がアカペラサークルに入っていて思うのは、いろんな才能のある学生が多いなって思います。アカペラサークルと言っても、いろんな部門があるんですね。音響、照明、そこに配属されるとそこで活躍してくれる仲間が多いので、もともと音響に興味があってアカペラをはじめたひとも居て、自分とは違う分野に精通していて、別の視点を持っている人が多いなと思って、そこは近大全体にも言えることなのかなと思います。
山口:僕は、大学にきれいな施設が多いところです。部活で、大学内の色々なところで活動させてもらうんですが、きれいなところが多いなと感じています。
堀:私は、様々な経験ができていることかなと思います。応援部チアリーダー部で入学式に出させてもらったり、色んなイベントに出させてもらったり、これは近大に入学しないとできなかったのかなと思います。
中西:私も設備と支援が整っていることに感動しています。先生に親身に教えていただいています。
栗林:僕は趣味がたくさんできたことです。高校の時と違って、多趣味で変な人がたくさんいるので、彼らに影響されて新しく好きなことが見つかっています。サウナもそうなんですけど、よく感じていますね。
学生からつんく♂に質問。挫折の経験は?学生のうちにやっておいたほうがいいことは?
──学生さんからつんく♂さんに質問したいことを考えてきてもらいました。おひとりずつ、つんく♂さんに直接質問してください!
山下:はい。コロナ禍が長く続いていて、コロナになったことの弊害と逆に良かったことがあればお聞きしたいです。
つんく♂:これまでも時代時代の中で、何かしらの問題は起こってきたわけです。たとえば僕らの時代はバブル絶頂期で、実はあの頃は今よりも貧富の差があったように思うのね。
僕の卒業直後にバブルがはじけて、後輩たちは結構な人が就職難民になって、その時代も大変だった。その後も時代の中で、なんらかの問題はあるよね。地震が起きたり、大雪だったり。あと、アメリカに住んでいると円安はすごく恐怖です。
コロナがこんなに長く続くとは想像できなかったけど、言い方、受け取り方、いろいろあるけれど、コロナ禍だから発展した業種もあるでしょう?
山下:はい、そうだと思います。
つんく♂:なので、いつも時代の"隙間”を探す。
これをクセづけておくと、ピンチをチャンスに変える能力になっていくんじゃないかなって思います。
山下:ありがとうございます。
山口:人生で挫折をした事がありますか?また、もし挫折を経験していた場合、その挫折をどのようにして乗り越えられたのか、お伺いしたいです。
つんく♂:山口くんは、なにか挫折したことがある?
山口:自分は高校3年生のときに受験に失敗して、1年浪人をしたことが挫折だったかなと思います。そのときは一緒に浪人した友人がいて、その子と支え合いながらその1年を乗り越えられたかなと思います。
つんく♂:ぶっちゃけ第一志望はどこの学校やったの?
山口:えーっと……。
つんく♂:言いにくいよな(笑)
山口:第一志望の国公立の大学は、僕には難しかったです。
つんく♂:ま、挫折ってわかるけど、中学時代のころって単純な失恋的なことが、ほとんどの人があると思うのね。告白してふられて「ああ、一生終わった〜」みたいなことがあったでしょ?
でも、どう? 今振り返って、あのときの失恋で一生は終わったまま?
山口:そんなことはないですね。
つんく♂:浪人のときも、「ああ僕だけ落ちた〜」って思ったかもしれんけど、今近大に入って、団長やって、あの頃の自分を後悔してる?
山口:いや、後悔はしてないです。
つんく♂:たとえば、僕もいろいろあった。一番大きいことは、声を失ったこと。
これは人生を振り返って、若い頃のタバコをやめておけばよかったなとか、まあ、いろいろ思う。その時は落ち込むし、今もそりゃ完全じゃない自分を知ってる。でも、さっきの話じゃないけれど、「どう生きていくか」それしかないので、山口くんのように浪人をして近大に入って、友だちの誘いで応援部に入って、で、団長になってるって。実は人から見たら、順調な人生に見えるかもしれないでしょ?
山口:(うなずく)
つんく♂:人生なんて、そんなもんかなあって思う。だいたい隣の芝生は青い。
なので、この先の山口くんの人生もきっと、今までのようにうまくすり抜けてくんちゃうかなって思う。
僕も、自分の人生をすり抜けているイメージです。
山口:ありがとうございます。
堀:今は3回生で、あと1年で卒業になります。もう学生生活が終わってしまうので、学生のうちに、しておいたほうが良いこと、身につけておいたほうが良いことがあれば、お伺いしたいです。
つんく♂:就職がゴールかどうかも、よく考えたほうがいいですが、お金に余裕があるなら休学をして、海外留学をすることもおすすめです。とくにお父さんがネパールの方ならば現地に親戚や知り合いもいるだろうし、そういうのを利点に変えて、ネパールに1、2年住むのもいいよね。
海外ならどこでもいいと思うけれど、留学までできずとも、ある程度長期で海外の旅ができるのも学生の間だけです。就職したらそうもいかないからね。
堀:はい。
つんく♂:あとは、180度イメージを変えたとして、誰でも経験すれば腕が上がるものって、何をイメージする?
堀:うーん、料理とかですかね?
つんく♂:それはいいね! 料理は習っただけで腕があがるので、プロになれなくても絶対に上手になれる。そういう修行を半年でも、1年でもすると、人生がコロっと変わるだろうな〜って思う。ネパール料理とかうまいやん!
堀:そうですね。でも、カレーしか浮かばなくて(笑)。
つんく♂:カレー、最高やん!
つんく♂が大事にする言葉の届け方「”あなた”に話しかける」
中西:音楽の力を感じた印象深いエピソードがあれば聞きたいです。
つんく♂:たとえば、悔しいときほど音楽が体に染みてくる、そんなことない?
楽しい場面にも音楽は合うけど、落ち込んでいるときとか、病んでいるときとか、おそらく失恋のときも染み込んでくる。数年経って、久々に聴いたら、あの頃のにおいまで蘇ってくるようなことってこの先どんどん増えるんです。楽器を演奏する中西さんは特に、何度も何度も吹いて、練習して、「もういやや」って思ったフレーズほど、あとで聴いたらじわ〜っとくると思います。記憶と直結しているんだと思います。楽器は何をやっているの?
中西:ファゴットをやってます。
つんく♂:音楽ってかんたんじゃないけど、複雑でもないので、体に1回入ったものは多分、一生忘れないと思います。大事にしてください。
中西:ありがとうございます。
栗林:つんく♂さんは大勢の前に立つことも多いと思うのですが、人前に出るときに意識されていることはありますか?
つんく♂:最近はいるかどうかわからないけど、駅前で選挙演説している人とかいるでしょ? メガホンをもって叫んでいる人とか。ああいうのって、台の上から、待ちゆく誰かに話しかけているんやけど、誰に話しているかわからんでしょ?
栗林:ああ、はい。
つんく♂:たとえば今日のこの座談会。さっきから色んな人の質問に答えてきたけれど、他の人の質問って自分にとってはどうだった? どうでもよかった? それとも、参考になった部分ってあった?
栗林:はい、ありました。
つんく♂:別に栗林くんに話しているわけじゃないけれど、耳には入ってきたでしょ。
これは上手なラジオのMCと同じで、最近で言うとYouTubeのひとりトークが上手い人と同じなんやけど、僕は話しかける相手のイメージを「みなさ〜ん!」ではなく「あなた」にしてる。
栗林:(うなずく)
つんく♂:「あなた」に話しかけているから、他の人の質問も自分の話として勝手に頭の中で置き換えて、聞いてくれてるんやと思う。きっと、さっきの応援部の山口くんの話とか、自分と置き換えて聞けたと思うんだよね。
栗林:そうですね。
つんく♂:同じ浪人生上がりだし、なので相手が1000人だろうと1万人だろうと100万人だろうと、ぜんぶ同じ。いつも「あなた」に話しかける。これだけです。
これは楽器も歌も同じ。「みなさん」にしてはいけません。常に「あなた」に対して演じてください。
会社の面談でも同じ。相手がたくさんの面談スタッフがいても、一人に対して答える、それがコツです。
栗林:はい、ありがとうございます。
言葉を伝えるときの、ベストな態度って?
つんく♂:最後に、事前に読ませてもらった今年の入学式で栗林くんから新入生に届ける「歓迎の辞」について話しましょう!
細かいことはまたあとで直接手紙に書きますが、自己紹介にはもう少し個人的なエピソードを踏まえた方が聞いてもらいやすいでしょう。ところで、高校の部活はなんだったんだろう?
栗林:僕は柔道をやっていました。
つんく♂:「歓迎の辞」の草稿を読んでまず最初に感じたことがあります。これは栗林くんだけでなく、先輩・後輩間の距離感として、よくありがちなことなんです。本来は「先輩」と「後輩」なんで、なんら間違っていないけど、文章にすると急に威圧感を覚える距離間になることがよくあります。なので、そう感じる部分は修正した方がいいなって思ってます。
「俺、先輩」そして「君たち、後輩」という絶対的な設定に、新入生や新人は戸惑うと思うので。他の部の部長たちも今後、新入生を誘うことがあると思うけど、そのときに上から目線にならないように。どう話をしたら「あなた」や「君」として聞いてくれるのか、これはすごく大事なことやと思います。そこを意識すると、聞く方は「僕」「私」のこととして聞いてくれるので。
全員:(うなずく)
つんく♂:じゃないと、「僕じゃないあいつらに話しているんやろ」ってなります。それはさっきの駅前の街頭演説と同じことですね。わかったかな?
栗林:はい、ありがとうございます。
つんく♂:最後に、みなさんから今日の感想を聞かせてください。
山下:今日はありがとうございました。つんく♂さんと話せることに緊張していたんですけど、他の人の質問も自分自身に刺さる言葉が多くて、先ほどおっしゃられていた「あなた」という視点で話してくださっていたんだなと思います。それは、自分もサークルの代表としてみんなに話すことが多いので、全体に話すときでも個々に話すように意識したいなと思いました。
山口:本日はありがとうございました。僕も被ってしまうんですが、僕らの質問に対してつんく♂さんが就職や部活動に広げて話してくださるのがすごいなと思ったのと、この言葉を参考に入学式を全力で頑張りたいと思います。
堀:貴重な経験をありがとうございました。ひとつひとつの話が自分の胸に刺さって、あらためてつんく♂さんはすごいなと思いました。今後の糧にします。
中西:本日はありがとうございました。他の人の悩みも自分にも当てはまることが多くて、頂いた言葉を胸に頑張っていきたいと思いました。
栗林:ありがとうございました。歓迎の辞へのアドバイスも、質問も、自分ごととして聞けることが多かったです。
つんく♂:今までこういうのをやれていなかったけれど、僕自身、とてもいい経験になりました! みなさんとも仲良くなれた気がして嬉しいです。入学式、成功させましょう!
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